研究課題/領域番号 |
19K04383
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研究機関 | 秋田工業高等専門学校 |
研究代表者 |
伊藤 桂一 秋田工業高等専門学校, その他部局等, 教授 (20290702)
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研究分担者 |
佐々木 友之 長岡技術科学大学, 工学研究科, 准教授 (90553090)
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研究期間 (年度) |
2019-04-01 – 2022-03-31
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キーワード | ミリ波アンテナ / 誘電体レンズ / トポロジー最適化 / FDTD法 |
研究実績の概要 |
今後の需要が見込まれる79 GHz帯ミリ波センサのアンテナユニットを高性能化するために薄型誘電体レンズの開発を行う。誘電体レンズの開発に必要となる設計法の確立とその試作方法について検討した。 設計対象としたアンテナは導波管スロットアンテナとホーンアンテナであり,正規化ガウス関数ネットワーク(NGnet)を用いたトポロジー最適化を用いてそれぞれのアンテナを高利得化することを目的に誘電体レンズの形状設計を行った。平面アンテナである導波管スロットアンテナの形状設計ではスロット近傍が空洞化する傾向が見られた。また,立体アンテナであるホーンアンテナではアンテナ外部にレンズ領域を設けることによって利得が改善することが分かった。両アンテナの設計により,アンテナ用レンズの形状設計では設計領域の配置が重要であることが分かった。 比較対象として導波管スロットアンテナ用半球付き誘電体カバーの設計をFDTD法を用いて行った。カバー非装荷時および半球がない板状カバーのみ装荷時と比べても半球付き誘電体カバーは高利得化が可能である。計算結果より,トポロジー最適化で設計したレンズはさらに高性能であることが見込まれており,試作と測定による評価を行って確認する予定である。 また,薄型レンズを設計するためには立体的なレンズ設計ではなく,薄板をそれぞれ形状最適化し,それを積層する方法を検討している。本研究では薄板のトポロジー最適化としてFSS(周波数選択膜)の形状最適化を行い,マイクロ波領域およびミリ波領域で設計が可能であることを示した。発展的にテラヘルツ領域におけるメタ構造の最適化についても検討している。 アンテナおよびFSSの試作方法として3Dプリンタとメッキ加工を用いることを検討し,条件の異なるPLA素材の造形物にメッキをかけて性能評価も行った。試作方法についてはメッキ材質など継続して検討する予定である。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
79GHz帯発振器が海外での受注生産品のため,想定していた以上に納品に時間を要した。また,同周波数帯を測定するために必要になるローノイズアンプが入手できなかったことも重なり,測定系の構築ができなかった。ローノイズアンプについては継続して探している。
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今後の研究の推進方策 |
薄型レンズを設計するために積層トポロジー最適化をプログラム上に実装する予定である。また,79GHz帯発振器を組み込んだミリ波測定系の構築と薄型誘電体レンズの試作を検討する。
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次年度使用額が生じた理由 |
新型コロナウィルスの感染拡大を受け,参加予定の学会が急遽中止となり,旅費が未使用だったため次年度使用額が生じた。
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