研究課題/領域番号 |
19K04386
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研究機関 | 茨城大学 |
研究代表者 |
那賀 明 茨城大学, 理工学研究科(工学野), 教授 (20765854)
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研究期間 (年度) |
2019-04-01 – 2022-03-31
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キーワード | 非線形光学効果 / 符号化変調 |
研究実績の概要 |
デジタルコヒーレント光伝送技術のさらなる発展を目指し、長距離光ファイバ通信における根源的な課題である非線形光学効果の低減機能を有し、かつ高感度な新規符号化変調信号の考案に取り組んでいる。さらにデジタルコヒーレント光伝送技術を応用した非線形光学補償の適用を前提に、考案した変調信号の伝送時に、その非線形補償の効果が最大化する光ファイバ伝送路の物理条件の明確化を目指す。 令和元年度では、符号化変調方式の1つである振幅分布整形方式(PAS方式:Probability Amplitued Shaping)に取り組み、自作のMatlab評価プログラムによる数値解析および理論考察を通して、ルックアップテーブルによる振幅分布整形法の提案と従来方法の比較、軟判定復号を利用した逆整形による特性改善、情報理論に基づく通信容量評価と誤り率特性との対応、などに取り組んだ。その研究成果は、査読付き論文(IEICE ComEx)に採用され、電子情報通信学会ソサイエティ大会でも発表し、国際会議OECC2020にも投稿中である。 もう一つの符号化変調信号であるBICM-ID (Bit Interleaved Coded Modulation-Iterative Detection)を適用した多次元変調方式にも、Matlab評価プログラムを用いた数値解析により取り組んでおり、電子情報通信学会東京支部学生会で発表した。さらに、非線形補償については、数値解析の為の評価プログラム作成を完了し、令和2年度以降に予定する非線形補償法を適用した光ファイバ伝送特性の評価の準備を進めた。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
非線形光学効果の低減機能を有する高感度な新規符号化変調に向け、代表的な符号化変調方式の1つであるPAS方式について、独自の機能を組み込んだ評価プログラムを作成し、査読付き論文に採用されたことは、現在の研究が一定の水準に達したことを端的に示しており、順調に進展している。 また、もう一つの符号化変調信号であるBICM-IDを適用した多次元変調方式や、非線形補償法について、それぞれ評価プログラムの作成が計画通りに進んでおり、得られた成果を一部切り出して、学会発表を行うことができている。
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今後の研究の推進方策 |
令和2年度は、送信部は自作Matlab評価プログラムによる符号化変調信号の生成、受信部は同じく自作Matlab評価プログラムによる非線形補償とデジタルコヒーレント技術に基づく復号、そして伝送路部として非線形効果を考慮した光ファイバ伝送特性を模擬する市販光伝送シミュレータを組み合わせた評価系を構築する。令和3年度に本格的な数値解析を行う。
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次年度使用額が生じた理由 |
当該助成金が生じた状況:国内学会聴講の取り止めの旅費分(新型コロナウイルス感染症拡大のため、2020年電子情報通信学会総合大会の現地開催中止)。また、研究室要員の当初見込より1名減による計算機端末1台およびソフトウェアMatlabライセンスの費用減。 令和2年度の使用計画:研究室の要員増に伴う計算機端末およびソフトウェア使用権の購入、国際会議発表の参加費及び旅費、国内学会参加費と旅費(2回)、論文掲載料。
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