研究課題/領域番号 |
19K04388
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研究機関 | 電気通信大学 |
研究代表者 |
韓 承鎬 電気通信大学, 大学院情報理工学研究科, 准教授 (10400714)
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研究期間 (年度) |
2019-04-01 – 2022-03-31
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キーワード | 完全相補系列系 / Z-CCC-CDMA / ワンタップ等化器 |
研究実績の概要 |
本研究での初年度の目標は、Z-CCC-CDMA(Z-connectable complete complementary coded code division multiple access)無線通信システムにおいて、多重経路反射フェージング伝搬環境での通信路特徴を時間と周波数の2つの領域で理論解析を行い、平均自乗誤差を最小にするMMSE(minimum mean squere error)線形等化器と同じダイバーシチを達成しながら、計算量がその以下になる等化器の開発と設定した。 それで、一年間の研究実施を経て、主に以下の二点が明らかになった。1)Z-CCC-CDMAの受信機は巡回シフトレジスターを用いることで、受信機の複雑度を大幅に減らせることができる。2)Z-CCC-CDMAは、拡散時に巡回畳み込み拡散を用いると、ワンタップ等化が可能でMMSE線形等化器と類似の性能を保ちながら計算の複雑度を大幅に削減することができる。これらの性質は、Z-CCC-CDMAの実用の可能性を大幅に高め、研究成果を国内研究会で発表し、更に国際学会と権威論文誌への投稿のため執筆中である。 また、誤り訂正符号の適応においてもインターリーバーの設計で代数手法を用したIA(integer array) interleaverを提案し、無線LANやデジタルテレビなどの通信規格であるOFDM(orthogonal frequency division multiplexing)で、現在採用されているインターリーバーより良い性能を達成できることを示した結果と、IAインターリーバーの距離特性と拡張手法を論じた研究成果を符号理論分野の権威論文誌であるIEEE Trans. Information theoryに二本投稿した(査読中)。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
1: 当初の計画以上に進展している
理由
本研究の初年度の目標は、Z-CCC-CDMA無線通信システムにおいて、MMSE線形等化器と同じダイバーシチを達成しながら、計算量がその以下になる等化器の開発と設定した。 一年間の研究実施を経て、Z-CCC-CDMAの受信機は巡回シフトレジスターを用いることで、受信機の複雑度を大幅に減らせる実装構造を見出した上に、拡散時に巡回畳み込み拡散を用いると、ワンタップ等化が可能でMMSE線形等化器と類似の性能を保ちながら計算の複雑度を大幅に削減することができることを示し、Z-CCC-CDMAの実用の可能性を大幅に高めた。そのゆ上に、初年度の研究実施においては、当初の目標を達成できたと思われる。 また、誤り訂正符号の適応手法の開発を次年度の目標に設定してあるが、畳み込み誤り訂正符号の応用において、現在の国際規格より優れた代数手法を用したIA interleaverを開発したので、計画以上に進展していると評価している。
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今後の研究の推進方策 |
今後は、当初の計画通りZ-CCC-CDMA無線通信システムでの「誤り訂正符号の適応法」と「高速移動通信環境でのドップラー影響の除去技術」について研究すると共に、Z-CCC-CDMAを基礎としたNon-orthogonal multiple access(NOMA)システムについて研究を進める予定である。 特に二年目に当たる今年度には、通信速度の限界である通信路容量を達成できるTurbo符号において、畳み込み符号の応用で開発したIA Interleaverの知見を活用し、現在の国際規格より優れたインターリーバーを開発することを目標に、30年以上の未解決問題にチャレンジする計画である。
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