研究課題/領域番号 |
19K04401
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研究機関 | 関西大学 |
研究代表者 |
四方 博之 関西大学, システム理工学部, 教授 (00510124)
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研究期間 (年度) |
2019-04-01 – 2022-03-31
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キーワード | 無線センサネットワーク / ウェイクアップ受信機 / 省電力化 / コンテンツ指向制御 |
研究実績の概要 |
本研究課題では、コンテンツ指向ウェイクアップ制御技術の確立とその有効性実証を目指している。本年度は、既存無線標準規格と親和性の高いコンテンツ指向ウェイクアップ制御法について検討を行った。 本年度は、まず、観測上位k番目までのデータ収集を行うtop-kデータ収集を例に取り、必要最低限のノードの起動でtop-k集合を把握するためのカウントダウンコンテンツウェイクアップ方式の提案を行った。提案方式は、既存無線標準規格に従い無線信号を送信するデータ収集ノードのフレーム長とセンサノードのウェイクアップフレーム長を対応付ける。各センサノードが観測値に応じてウェイクアップフレーム長を設定することでコンテンツ指向ウェイクアップ制御を実現する。そして高観測値から段階的に起動対象ノードの観測範囲を広げることで、必要最低限のノード起動を実現する。詳細な理論解析およびシミュレーション評価を行う事で、提案方式がセンサノードの消費エネルギーを大きく削減できる事を示した。 さらに、コンテンツ指向ウェイクアップ制御をセンサネットワークにおける分散パラメータ推定に適用し、必要最低限のノード起動で所望の推定精度の達成が可能なサンプリング法の提案を行った。提案サンプリング法では、コンテンツ指向ウェイクアップ制御の利点を活かし、推定精度の向上に貢献するノードのみを適応的に起動させる。ガウス分布に従うノイズを含む観測値から真の観測値を推定するための動的サンプリング範囲指定法を組み込むことで、データ収集遅延抑制を試みた。シミュレーション評価により、提案サンプリング法が低消費エネルギー・低遅延で精度の高い分散推定を実現できる事を示した。 上記の検討により、収集すべきデータの特質と起動制御・アクセス制御を連携させることで高効率・低消費エネルギーなデータ収集や推定を実現できる事を実証した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
1: 当初の計画以上に進展している
理由
本年度の目標は、既存無線標準規格と親和性の高いコンテンツ指向ウェイクアップ制御法を具体的に定義し、その有効性を示すことであり、その目的は達成できた。また、翌年度に実施する予定であったtop-kデータ収集を例にとったウェイクアップ制御とデータ通信制御の連携とその効果の明確化についても一部実施することができた。さらにtop-kデータ収集のみならず、分散パラメータ推定にもコンテンツ指向制御の応用を拡げることができた。これらの理由から本年度は当初の計画以上に進展したと評価する。
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今後の研究の推進方策 |
次年度は、ウェイクアップ制御とデータ通信制御の連携について詳細な検討を行う予定である。コンテンツ指向制御では、所望センシング条件を満足する複数ノードが起動し、同時にデータ送信を行う可能性がある。この同時送信は、輻輳に伴う通信遅延を引き起こすため、輻輳を緩和するアクセス制御法が必要となる。一方、同時起動ノード数はウェイクアップ制御で指定する条件の変化により制御可能である。そこで、ウェイクアップ制御とアクセス制御のパラメータ同時最適化法について検討・評価を行う予定である。また、コンテンツ指向制御の応用をさらに拡げ、センサネットワークにおける異常値検知などへの応用も検討する予定である。
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次年度使用額が生じた理由 |
本年度中に発表を予定していた国際会議を次年度開催の国際会議に変更したこと、および新型コロナウィルスの影響により学会発表に伴う旅費が必要なくなったことが理由である。これらの予算は次年度の国際会議発表の旅費に使用する計画である。
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