研究課題/領域番号 |
19K04401
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研究機関 | 関西大学 |
研究代表者 |
四方 博之 関西大学, システム理工学部, 教授 (00510124)
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研究期間 (年度) |
2019-04-01 – 2023-03-31
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キーワード | 無線センサネットワーク / ウェイクアップ無線 / 省電力化 / コンテンツ指向制御 |
研究実績の概要 |
本研究課題では、コンテンツ指向ウェイクアップ制御技術の確立とその有効性実証を目指している。本年度は、ウェイクアップ制御とデータ通信制御の連携効果の詳細検討および広域センシングを実現するためのマルチホップ化に関する検討を行った。 ウェイクアップ制御とデータ通信制御の連携について、センサ観測値の時間相関に基づいた方式設計および詳細評価を行った。本検討では、top-kデータ収集が周期的に繰り返されるシナリオを想定し、top-k集合の変化に寄与するデータを有するノードのみを選択的に起動するウェイクアップ制御法を提案した。計算機シミュレーションにより、提案方式がtop-k集合の正確性とノードの消費エネルギーの間のトレードオフを精密に制御できることを示すとともに実機実証により提案方式の実用性を確認した。また、センサが有する観測値の分布を事前に推定し、その推定結果に基づきウェイクアップ・データ通信制御のパラメータを制御する方式を提案した。そして、計算機シミュレーションにより、観測値分布推定機能を有するウェイクアップ制御の有効性を確認した。 また、マルチホップ化に関する検討として、クラスタリングを適用した2-hopネットワークへのコンテンツ指向ウェイクアップ制御の拡張を行った。各クラスタでのデータ収集を同時に行うParallel方式と順番に個別に行うSuccessive方式について、データ収集遅延およびノードの消費エネルギーに関するシミュレーション評価を行い、Successive方式の有効性を確認した。さらに、2-hopネットワークにおける隠れ端末のウェイクアップ制御への影響についてシミュレーション評価を行った。 上記の検討により、観測データの特質考慮によりウェイクアップ制御の特性向上を実現できる事を実証するとともにマルチホップ化に適した方式およびマルチホップ化の問題点を明確にした。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
本年度の目標の一つは、センサ観測値の相関に基づいた方式の検討により、コンテンツ指向ウェイクアップ制御におけるウェイクアップ制御とデータ通信制御の連携効果の明確化を行う事であり、その目的は達成できた。また、もう一つの目標は、広域センシングを実現するためのマルチホップ環境に適したウェイクアップ制御法の明確化であり、その目的についても達成できた。また、これらの検討以外にも、観測値データの分布推定と統合したウェイクアップ制御の検討を行うとともにマルチホップ環境における問題点も明確化することができた。これらの理由から、本年度は、おおむね順調に研究が進捗したと評価する。
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今後の研究の推進方策 |
今後は、広域センシングを実現するためのマルチホップ制御について詳細検討を行うとともに、2-hopよりも多くのホップを含むネットワークへの拡張を検討する予定である。また、今年度明確にした隠れ端末に起因する問題を解決するための方式提案を行う予定である。具体的には、従来の通信制御に採用されている隠れ端末対策方式をウェイクアップ制御に適応させる予定である。そして、計算機シミュレーションによりマルチホップネットワークにおける特性をセンサノードの消費エネルギーやtop-k集合の正確性の観点から評価し提案方式の有効性を検証する。これらの検討によりマルチホップ環境に適したウェイクアップ制御法を明らかにする予定である。
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次年度使用額が生じた理由 |
本年度中に発表を予定していた国際会議や国内学会が新型コロナウィルスの影響でオンライン開催となり学会発表に伴う旅費が必要なくなったことが理由であ る。今年度の研究を通して、コンテンツ指向ウェイクアップ制御のマルチホップ化やデータ通信処理との連携については、更なる拡張および詳細検討が必要であることが明確となり、上記理由により生じた使用額は、これらの研究活動およびその成果についての国際会議発表および国内学会発表の旅費に使用する計画である。
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