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2020 年度 実施状況報告書

レーザプローブ法による物質の弾・塑性特性の音波伝搬におよぼす定量計測に関する研究

研究課題

研究課題/領域番号 19K04404
研究機関秋田大学

研究代表者

今野 和彦  秋田大学, 理工学研究科, 教授 (60125705)

研究期間 (年度) 2019-04-01 – 2022-03-31
キーワードレーザープローブ法 / ストロボ光弾性法 / 鋭敏色法 / Sénarmont法 / 残留応力 / 位相 / Lamb波
研究実績の概要

超音波を含む音波の観測方法として従来から,ハイドロホン等の物理的なセンサを音場に直接挿入する方法やシュリーレン法等の光学的観測法が用いられているが音圧,位相等は定量化されるに至っていない.
本研究は,レーザ光を用いて超音波の音場に影響を与えずにレーザ光を用いてμmオーダの“点”の領域の超音波特性の定量的な観測をめざす.このため従来の音波の有限領域の平均値情報ではなく点の情報を得るためレーザ光源,フォトセンサ,精密な位置決め・移動装置,位相計測装置からなるシステムを構築する.
この方法で光センサから得られる時間波形からはスペクトルを,振幅から音圧を,位相(位相スペクトル)からは音波の伝搬に伴う位相をmdeg.精度で定量的に計測する.すなわち,有限の大きさを持つ超音波変換器で得られる情報は何を表しているのかというこれまで論じられていない問題に対しての解を得ることをめざすものであり,音速測定の際の音波の位相変化等の原因など波動の根本的な問題を実験から定量データによって明らかにする.
また,圧電振動子の厚み振動およびその振幅信号のみの画像では感度やダイナミックレンジが狭いため,これを解決する方法を提案した.圧電横効果を用いると弾性的な結合によって厚み方向にも振動し,これを用いた位相像の取得法についてシステムの組み立てを行い予備実験を行った.これまでのところ得られる位相データは振幅のそれよりも情報量が多いが,S/Nが低く感度も低い.位相データは感度が高いために試料の表面のわずかな凸凹もデータとして拾ってしまい,さらに位相のラッピングがあることが判明している.

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

2: おおむね順調に進展している

理由

申請時に計画調書に記載の計画はほぼ達成できた.光源のビーム化はHe-Neレーザをレンズで絞ることにより解決した.また,光情報の複素化により,振動情報の位相情報が取得でき当初の課題の検証の補強の役目として使えることも明らかになった.

今後の研究の推進方策

Lamb波やバルク波の振動情報をレーザープローブ法でデータ取得する方法についてはほぼ確立できた.課題の中で問題になる超音波振動の位相取得方法も確立しているが,被検体の表面の不均一による,光の乱反射が有り,これが位相情報の”ノイズ”となり,得られる画像のアーチファクトの原因となっている.このため本年度は,位相を正しく表示する方法を開発・導入し,アーチファクトの軽減を図る.

次年度使用額が生じた理由

学会のための出張旅費を計上していたが.新型コロナウイルスの影響で,殆どの学会・研究会がリモートで行われたため,旅費の使用は0円となっている.また,コロナの影響で大学への入構制限が有り,実験も殆どできない状態が令和2年の末ごろまで続いたため,実験にかかわる支出も予定より少なくなった.
現状では一昨年および昨年行った実験データが上記の理由で散在し,データの解析が行われていない.本年度は実験データを集積するための集積装置および解析のための機器,装置の購入を行い,課題の達成に向けて研究を推進する.

  • 研究成果

    (22件)

すべて 2020

すべて 雑誌論文 (10件) (うち査読あり 10件) 学会発表 (12件)

  • [雑誌論文] サイディングによる振動子の振動特性の改善に関する研究2020

    • 著者名/発表者名
      保坂一貴,今野和彦
    • 雑誌名

      日本画像学会誌

      巻: 59 ページ: 28-32

    • DOI

      10.11370/isj.59.28

    • 査読あり
  • [雑誌論文] 電気的負荷によるサイディングされた圧電振動子の振動特性均一化の一方法2020

    • 著者名/発表者名
      保坂一貴,今野和彦
    • 雑誌名

      電子情報通信学会論文誌

      巻: J103-A ページ: 93-95

    • 査読あり
  • [雑誌論文] 鋭敏色法を用いたガラス板中を伝搬するLamb波の可視化とそのモード判別および波数解析2020

    • 著者名/発表者名
      河野勇希,今野和彦
    • 雑誌名

      電子情報通信学会論文誌

      巻: J103-A ページ: 114-116

    • 査読あり
  • [雑誌論文] Detection of subsurface drilled hole of aluminum plate existing the Rayleigh ultrasonic wave field using Laser probing method2020

    • 著者名/発表者名
      Kazuhiko Imano
    • 雑誌名

      Sensors and Materials

      巻: 32 ページ: 791-797

    • DOI

      10.18494/SAM.2020.2659

    • 査読あり
  • [雑誌論文] 有限要素法を用いた鋭敏色可視化法における積分効果の検討2020

    • 著者名/発表者名
      鈴木海里,西平守正,今野和彦
    • 雑誌名

      日本画像学会誌

      巻: 59 ページ: 195-200

    • DOI

      10.11370/isj.59.195

    • 査読あり
  • [雑誌論文] 鋭敏色法を用いたガラス板中のLamb波の厚さ方向の分布に関する実験的検討2020

    • 著者名/発表者名
      鈴木海里,今野和彦
    • 雑誌名

      日本音響学会誌

      巻: 76 ページ: 203-206

    • DOI

      10.20697/jasj.76.4_203

    • 査読あり
  • [雑誌論文] レーザープローブ法を用いた固体欠陥試料の超音波振動速度イメージング2020

    • 著者名/発表者名
      今野耀士,今野和彦
    • 雑誌名

      日本素材物性学会論文誌

      巻: 31 ページ: 1-5

    • 査読あり
  • [雑誌論文] 超音波定在波音場下における鋭敏色法およびSenarmont法を用いた固体中の応力測定2020

    • 著者名/発表者名
      今野和彦
    • 雑誌名

      日本素材素材物性学会誌

      巻: 31 ページ: 12-15

    • 査読あり
  • [雑誌論文] Detection of Unbonded Defect under Surface of Material Using Phase Information of Rayleigh and A0 Mode Lamb Waves2020

    • 著者名/発表者名
      Kazuhiko Imano
    • 雑誌名

      Sensors and Materials

      巻: 32 ページ: 2019-2028

    • DOI

      10.18494/SAM.2020.2906

    • 査読あり
  • [雑誌論文] サイディングおよびバッキングによる圧電振動子の不要輻射の抑制効果の比較2020

    • 著者名/発表者名
      保坂一貴,今野和彦
    • 雑誌名

      電子情報通信学会論文誌

      巻: J-103A ページ: 1-3

    • DOI

      10.14923/transfunj.2020JAL2021

    • 査読あり
  • [学会発表] 薄い板状試料の超音波位相イメージングに関する検討2020

    • 著者名/発表者名
      今野耀士,今野和彦
    • 学会等名
      電気関係学会東北支部大会
  • [学会発表] 電気的負荷および音響負荷による圧電振動子の不要振動に関する実験2020

    • 著者名/発表者名
      保坂一貴,今野和彦
    • 学会等名
      電気関係学会東北支部大会
  • [学会発表] 位相による光学的可視化手法における差異の考察2020

    • 著者名/発表者名
      入月渉吾,今野和彦
    • 学会等名
      電気関係学会東北支部大会
  • [学会発表] 超音波の位相特性を用いた表面付近の欠陥検出実験2020

    • 著者名/発表者名
      石崎大輝,今野和彦
    • 学会等名
      電気関係学会東北支部大会
  • [学会発表] ガラス板中のLamb波とその漏洩波の鋭敏色法による同時観測2020

    • 著者名/発表者名
      櫻井晃平,今野和彦
    • 学会等名
      電気関係学会東北支部大会
  • [学会発表] 鋭敏色法を用いたガラス板中のLamb波の可視化とモード判別および波数解析2020

    • 著者名/発表者名
      河野勇希,今野和彦
    • 学会等名
      電気関係学会東北支部大会
  • [学会発表] 超音波の位相特性を用いた欠陥検出の検討2020

    • 著者名/発表者名
      石崎大輝,今野和彦,西平守正
    • 学会等名
      第3回 東北地区音響学研究会
  • [学会発表] サイディングまたはバッキングにおける圧電振動子の不要輻射の抑制効果についての検討2020

    • 著者名/発表者名
      保坂一貴,今野和彦
    • 学会等名
      第3回 東北地区音響学研究会
  • [学会発表] 圧電振動子の横方向効果を使用した薄い板状試料の超音波位相イメージングの検討2020

    • 著者名/発表者名
      今野耀士,今野和彦
    • 学会等名
      第3回 東北地区音響学研究会
  • [学会発表] 輝度値と位相による光学的可視化手法における差異の考察2020

    • 著者名/発表者名
      入月渉吾,今野和彦
    • 学会等名
      第3回 東北地区音響学研究会
  • [学会発表] 固体平板試料中のLamb波とその漏洩波の光学的手法による観測2020

    • 著者名/発表者名
      櫻井晃平,今野和彦
    • 学会等名
      第3回 東北地区音響学研究会
  • [学会発表] 鋭敏色法を用いたガラス板中のLamb波の可視化とモード判別および波数解析2020

    • 著者名/発表者名
      河野勇希,今野和彦
    • 学会等名
      第3回 東北地区音響学研究会

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公開日: 2021-12-27  

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