研究課題/領域番号 |
19K04410
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研究機関 | 島根大学 |
研究代表者 |
増田 浩次 島根大学, 学術研究院理工学系, 教授 (60583127)
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研究分担者 |
長瀬 亮 千葉工業大学, 工学部, 教授 (40570685)
北村 心 島根大学, 学術研究院理工学系, 助教 (60549179)
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研究期間 (年度) |
2019-04-01 – 2022-03-31
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キーワード | 光増幅 / 帰還回路 / 光計測 |
研究実績の概要 |
1年目である令和元年度の実検討を踏まえて、光増幅帰還型光検出器(OAFD)及び光増幅帰還回路(OAFC)に関し、以下の実験及びシミュレーション検討を行った。なお、それらの検討結果は、5件の学会発表(後記)において報告している。まず、実験検討では、光部品の損失測定に、本提案技術を適用し、従来技術の約70倍の光パワー分解能が得られることを検証した。その光部品は市販の光可変減衰器であり、OAFCの光パワー分解能改善量(入出力特性のスロープ)を、約70に設定した。なお、昨年度までの検討結果を踏まえて、光増幅帰還回路OAFCの呼び名を、増幅自然放出光帰還回路(ASEFC: Amplified-Spontaneous-Emission Feedback Circuit)と変更している。実験で得られた光パワー分解能は、約0.00014dBであった。このように、実際に光測定器としての応用における有効性を検証できており、大きな成果が得られている。 また、シミュレーション検討においては、昨年度までの初期検討に加えて、理論モデルの高精度化、近似誤差の明確化を行った。OAFCにおいて、光パワー分解能が改善するメカニズムを、シミュレーションにより明らかにした。その結果、利得媒質であるエルビウム添加ファイバの励起方向に関し、前方向励起の場合の方が、後方向励起の場合より、若干、光パワー分解能改善量が高いことを明らかにした。また、OAFC性能(光パワー分解能改善量)について、光狭帯域フィルタ帯域依存性、EDFモードフィールド径依存性、入力光パワー動作範囲などを明らかにした。このように、シミュレーションにより、OAFCパラメータ依存性などのOAFC性能を定量的かつ詳細に求めることが可能になった。これは、今後の実験検討の効率的な実施、OAFCの性能明確化および設計技術の確立につながる重要な成果である。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
1: 当初の計画以上に進展している
理由
提案方法に関し、実験及びシミュレーション検討を行い、それらの検討結果として、5件の学会発表を達成した。実験検討において、実際の市販の光部品の損失測定に、本提案技術を適用し、従来技術の約70倍の光パワー分解能が得られることを実証した。実際に光測定器としての応用における有効性を検証できたことは、大きな成果である。また、シミュレーション検討において、OAFC性能(光パワー分解能改善量)の明確化を達成している。シミュレーションにより、OAFCパラメータ依存性などのOAFC性能を定量的かつ詳細に求めることが可能になったことは、今後の実験検討の効率的な実施、及びOAFC設計技術の確立につながる顕著な成果である。
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今後の研究の推進方策 |
令和2年度の検討に続けて、光増幅帰還回路OAFCの入出力特性の明確化及び設計技術の確立を行う。さらに、光ファイバセンシングによる水溶液評価応用における本提案方法の有効性の検証を行う。OAFC(ひいてはOAFD)の性能である光パワー分解能改善量(スロープ)について、性能限界要因の明確化、環境(温度及び振動)依存性明確化の詳細検討、及びEDF温度制御法の確立を行う。また、OAFCの偏波特性の明確化及び偏波制御法の確立を行う。利得媒質がレーザダイオード(LD)の場合について、遠隔光励起の可能性の検討及び設計技術の確立を行う。また、応用技術検討として、複数のOAFCを用いた多点光ファイバセンシング技術の検討を行う。特に、OAFCを用いた光ファイバセンシング技術として、媒質や環境の温度、水溶液の屈折率、増幅媒質の利得、及び光部品の損失のセンシングの可能性について検討する。
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次年度使用額が生じた理由 |
(理由)当初予定していた実験及び学会投稿・発表を、COVID-19の影響などにより年度内に実施することが困難になったため、次年度に支出することとした。 (使用計画)実験部品購入及び学会投稿・発表関連費用として支出する予定である。
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