研究課題/領域番号 |
19K04410
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研究機関 | 島根大学 |
研究代表者 |
増田 浩次 島根大学, 学術研究院理工学系, 教授 (60583127)
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研究分担者 |
長瀬 亮 千葉工業大学, 工学部, 教授 (40570685)
北村 心 島根大学, 学術研究院理工学系, 助教 (60549179)
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研究期間 (年度) |
2019-04-01 – 2023-03-31
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キーワード | 光増幅 / 帰還回路 / 光計測 |
研究実績の概要 |
2年目である令和2年度の実験・理論検討を踏まえて、増幅自然放出光帰還回路(ASEFC)に関する、実験・理論検討を進めた。その結果、1件のジャーナル論文、および8件の学会発表を達成した。8件の学会発表の内、1件は査読を有する国際会議である。残りの7件の国内学会発表において、2件の研究会技術報告を行った。残りの5件の国内学会発表としては、国内学会全国大会での発表が3件、地方大会での発表が2件であった。 理論・シミュレーション検討においては、昨年度のASEFCの動作(入出力特性)に関する検討に加えて、ASEFCの帰還ループ中に、光部品損失を設定し、その光部品損失の微小変化を検出するという、新たな光ファイバセンシング方法を提案した。電子情報通信学会光ファイバ技術研究会(2021年8月)における発表で、タイトルは「増幅自然放出光帰還回路を用いた光ファイバセンシング方法の提案と理論検討」である。その結果、従来技術に対して、約20倍の光損失変化に関する感度向上が得られることを確認している。 さらに、ASEFC特性明確化の一環として、ASEFCの帰還ループが存在しない場合の光回路構成であるASE回路の特性明確化の実験検討を行った。電子情報通信学会光ファイバ技術研究会(2022年1月)における発表で、タイトルは「エルビウム添加ファイバからの増幅自然放出光を用いた光ファイバ 温度センシング方式の検討」である。後方向励起のエルビウム添加ファイバからの増幅自然放出光パワースペクトルの高精度計測を行い、温度センシング特性の明確化行った。得られた温度分解能は、5分間の計測時間において0.024℃であった。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
提案方法に関し、実験およびシミュレーション検討を行い、それらの検討結果として、1件の学術論文掲載および8件の学会発表を達成した。学術誌IEICE Communications Expressの掲載論文“Amplified-spontaneous-emission feedback circuit scheme for optical measurement with improved optical power resolutions”では、光部品の損失測定に、本提案技術を適用し、従来技術の67倍の光パワー分解能が得られることを検証した。その光部品は市販の光可変減衰器であり、ASEFCの光パワー分解能改善量(入出力特性のスロープ)の最大値を、67に設定した。実験で得られた光パワー分解能は、約0.00014dB(0.14mdB)であった。このように、実際に光測定器としての応用における有効性を検証できており、大きな成果が得られている。 また、シミュレーション検討において、ASEFC性能(光パワー分解能改善量)およびASE回路の特性明確化を達成している。シミュレーションにより、ASEFC性能およびASE回路特性を定量的かつ詳細に求めることが可能になったことは、今後の実験検討の効率的な実施、およびASEFC設計技術の確立につながる顕著な成果である。
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今後の研究の推進方策 |
令和3年度の検討に続けて、増幅自然放出光帰還回路ASEFCの入出力特性の明確化および設計技術の確立を行う。さらに、光ファイバセンシングによる温度センシング等の応用における本提案方法の有効性の検証を行う。ASEFCの性能である光パワー分解能改善量(スロープ)について、性能限界要因の明確化、環境(温度および振動)依存性明確化の詳細検討、およびEDF温度制御法の確立を行う。また、ASEFCの偏波特性の明確化および偏波制御法の確立を行う。
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次年度使用額が生じた理由 |
(理由)当初予定していた実験及び学会投稿・発表を、COVID-19の影響などにより年度内に実施することが困難になったため、次年度に支出することとした。 (使用計画)実験部品購入及び学会投稿・発表関連費用として支出する予定である。
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