研究実績の概要 |
本研究は独自に開発した「超音波アシスト水熱合成法」の超音波出力や照射周波数を最適化し50μm以上の膜厚を持つ圧電厚膜を制作し、共振デバイスとしての観点から厚膜の性能向上を行うことを一つの目標としている。また、エネルギー変換論に立脚した最適設計指針を確立することで、革新的な圧電発電デバイスを目指す。すなわち、開発した圧電厚膜材料を単に導入するだけでなく、本質的な設計指針を確立することで、新しい圧電発電デバイスとして医療・環境への応用展開を目標として研究を行っていた。 昨年度は材料設計シミュレーションを行い単結晶基板上の圧電膜の電気機械結合係数及び圧電定数の性能向上には、ある一定の膜厚が必要であることが明らかとなった。シミュレーション結果を考案してLiTaO3単結晶を基板として非鉛圧電膜としてKNbO3薄膜、比較対象としてPZT薄膜を水熱方法を用いて制作した。得られた圧電膜の性質を走査型電子顕微鏡、X線構造解析により評価した。また、電気機械結合定数、機械的品質係数,圧電定数、光学性質の評価などを行った。 今年度は昨年のシミュレーション結果を元に材料設計の指針を念頭に基板材をLiNbO3とLiTaO3の2種とし、成膜の圧電定数のサイズ効果、共振周波数特性のシミュレーションを行った。 水熱法により作製された非鉛KnBO3/LiTiO3膜の圧電定数を非接触レーザドップラ振動計(LDV)方により求めることができた。この方法により周波数変調による圧電定数の変化を求め測定評価技術を確立することでデバイスとして応用を考える際の重要な指針となる。また、デバイスとしての利用実現に向けて先行研究としてPZTディスク型及びシート型圧電膜のAdironoソフトによるセンサーデバイスとしての機能と動作確認を行った。得られた研究成果の学会等での発表により 関連分野の研究情報収取を行った。
|