現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
MBLによるNIRS信号の変化は、オプトードのSD、すなわち脳内光路長に依存するため、⊿HbOと⊿HbRの拍動成分も同様と考えられた。該当年度の当初は、ラット脳のNIRS信号のSN比がより向上する最適となる光ファイバー径、オプトードのSDや設置場所を検討した。ラット脳定位座標アトラス(The Rat Brain in Stereotaxic Coordinates (7TH), George Paxinos & Charles Watson, 2013)に基づき、光ファイバー径は、外径2.5 mmφ(実質ファイバー径 2.0 mmφ)で、オプトードの最大SDは、10 mm以下が妥当であると考えられた。そのため、オプトードは光照射部に光ファイバーを1本、光検出部に4本とし、5本のケーブルを互いに接触させ並べた場合、SDが 2.5、5.0、7.5、10.0 mmになる4チャンネルとした。また、オプトードの設置場所は、ブレグマ(脳定位座標の基準点)の位置座標(吻側, 右外側) mmを(0, 0)とした場合、オプトード光照射部を吻側とし、(5, 3)、(0, 6)、(-8, 6)を通る脳周縁の緩やかなL字型線上が最適であることを見出した。 その結果、ラット頭蓋半透明モデルにおいて、SD 7.5と10.0 mmからの⊿HbOの拍動成分は、微弱ではあるがリアルタイムで認められた。しかし、⊿HbRの拍動成分は、認められず、リアルタイムでの観測は困難と判断した。そこで、拍動成分は血圧と関係することが知られているため、血圧波形毎にNIRS信号を積算する方法を考案した。
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