研究課題/領域番号 |
19K04421
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研究機関 | 北海道大学 |
研究代表者 |
西村 吾朗 北海道大学, 電子科学研究所, 助教 (30218193)
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研究分担者 |
藤井 宏之 北海道大学, 工学研究院, 助教 (00632580)
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研究期間 (年度) |
2019-04-01 – 2023-03-31
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キーワード | 光伝搬 / 拡散方程式 / 多重散乱 / 蛍光イメージング / 逆問題 |
研究実績の概要 |
散乱体に埋め込まれた蛍光体に関して、その時間応答関数に関して、研究協力者と検討した。特に、S/Nが最も良くなる時間応答関数が最大値を取る時間を、点蛍光体に関して解析的に導出し、厳密な証明を与えた。これらの結果を投稿論文としてまとめ投稿した。 時間応答関数を観測する上で、検出条件が与える影響を評価するために、MCシミュレーションを行った。特に、検出方向の境界面に対する角度依存性を検討した。検出方向の方位角を4分割、極角を10分割しそれぞれの方向で検出される光子数に関してシミュレーションを行った。入射点と検出点を結ぶ方向に対し直角となる方位角で検出する場合の極角に対する依存性は、界面のフレネル反射と拡散反射のみで説明可能であった。一方、入射点と検出点を結ぶ方向では、入射点方向から離れる方向では強度が大きくなる一方、逆の方向では強度が小さくなり、直角方向のそれとの違いはほぼ対称的であった。この結果は、拡散近似に含まれる流れの項で説明できることがわかった。その一方、時間応答の速い時間ではそれらからずれ、拡散近似の破れが現れた。これらの結果は、10月に行われた国内学会、4月に行われた国際会議で報告した。 散乱体濃度に対して時間応答特性がどのように変化するか、特にその波長依存性に関して、共同研究者とより詳細に解析を進めた。その結果、濃度に対する散乱係数の依存性の非線形性が、波長が長くなるにつれより薄い濃度で現れることが明らかになった。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
蛍光検出に与える影響に関する、理論的な研究に多くの時間をさくことにより、実験において考慮すべき事項に関する理解が進んだが、COVIDなどの影響でそれらを踏まえた実験的な検証が不十分であった。
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今後の研究の推進方策 |
理論的な解析を踏まえ、時系列データの具体的な処理に関して考慮すると共に、昨年度購入した時系列データの取得装置において実験的にそれを検証することを行う。具体的には、肉内部に埋め込まれた蛍光体に関して、検出プローブの角度と強度の依存性などを評価することと、角度の同時測定などを行い、それらの影響を考慮した蛍光高感度検出を目指すことと、さらに、位置に関する付加情報の取得をテストする予定である。また、今年度までの理論的と合わせた結果の会議での発表と論文投稿を目指す。
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次年度使用額が生じた理由 |
実験が予定通り進まなかったことと、特に研究交流のための旅費の支出がなかったため。
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