研究課題/領域番号 |
19K04425
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研究機関 | 金沢大学 |
研究代表者 |
秋田 純一 金沢大学, 電子情報通信学系, 教授 (10303265)
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研究分担者 |
小松 孝徳 明治大学, 総合数理学部, 専任教授 (30363716)
戸田 真志 熊本大学, 総合情報統括センター, 教授 (40336417)
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研究期間 (年度) |
2019-04-01 – 2022-03-31
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キーワード | 画素配置 / 乱数 / 擬似的な不規則化 / 超解像処理 / 知覚 / 高精細化 |
研究実績の概要 |
本研究の課題として設定していた、画素配置の擬似的不規則化による2つの画像システムの高精細化に関するテーマのそれぞれについての研究実績は以下の通りである。 まず1つ目の、擬似的不規則画素配置による画像処理アルゴリズムの高精度化については、超解像処理を対象として設定した。超解像処理の中でも、特に近年有効性が示されている、畳込みニューラルネットワーク(CNN)を用いる学習型の超解像処理をとりあげ、その中に擬似的不規則画素配置手法を導入することで、超解像処理で得られる画像の精度について、シミュレーションを通した検討を行った。その結果、通常の規則的画素配置手法と比べて、擬似的不規則画素配置を用いる手法では有意に超解像画像の精度が高いこことが示された。またその精度は、用いる擬似的不規則画素配置に用いる乱数列の種類にほぼ依存しないことも示された。またこれに用いる擬似的不規則画素配置構造を持つCMOSイメージセンサの評価を進めている。 2つ目の、擬似的不規則画素配置と人間の知覚する画像の精細さとの関連については、従来から適切な表示デバイスの選定に困難があった。すなわち擬似的不規則画素配置構造を持つ情報ディスプレイが存在しないため、既存ディスプレイを用いて模擬的に画像提示を行うことになるが、画像サイズと被験者との距離の両立が困難であった。しかし近年普及が始まった4K/8Kモニタを用いることで、評価実験を実施できる目処を立てることができた。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
本研究の課題として設定していた、画素配置の擬似的不規則化による2つの画像システムの高精細化に関するテーマのそれぞれについての進捗状況は以下の通りである。 まず1つ目の、擬似的不規則画素配置による画像処理アルゴリズムの高精度化については、具体的な画像処理アルゴリズムとして超解像処理ををとりあげ、その精度評価を行った。その結果、通常の規則的画素配置手法と比べて、擬似的不規則画素配置を用いる手法では有意に超解像画像の精度が高いこことが示され、またその精度は、用いる擬似的不規則画素配置に用いる乱数列の種類にほぼ依存しないことも示された。またこれに用いる擬似的不規則画素配置構造を持つCMOSイメージセンサの評価を進めている。以上から、ほぼ計画通り順調に進展していると言える。 2つ目の、擬似的不規則画素配置と人間の知覚する画像の精細さとの関連については、従来から適切な表示デバイスの選定に困難があったため、予定通りの進捗を達成することができなかった。しかし近年普及が始まった4K/8Kモニタを用いることで、評価実験を実施できる目処を立てることができたため、今後の研究のペースを早めて取り組みたい。
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今後の研究の推進方策 |
本研究の課題として設定している画素配置の擬似的不規則化による2つの画像システムの高精細化に関するテーマのそれぞれについて、今後の研究推進の計画は以下の通りである。 まず1つ目の、擬似的不規則画素配置による画像処理アルゴリズムの高精度化については、画像処理アルゴリズムとして対象とした超解像処理に関するより詳細な評価を継続する。また画像計測などの新たなアルゴリズムも対象として設定し、その評価を開始する予定である。 2つ目の、擬似的不規則画素配置と人間の知覚する画像の精細さとの関連については、評価実験の実施に関する困難が解消される目処が立てられたため、当初計画していた、画素配置とそのパラメータと、視覚系の知覚特性との関連についての評価実験を進める予定である。
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次年度使用額が生じた理由 |
新型コロナウイルスの流行により,予定していた研究打ち合わせが延期となったため、その分の旅費を次年度に繰り越した。その予定した打ち合わせは次年度に実施する予定である。
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