光空間エンコード化と差動型レーザドップラー速度計測技術を利用した手法を発展させた,高精度で扱いやすい3次元空間速度ベクトル分布計測方法を確立するための技術開発として,昨年度に引き続き,(1)3次元空間の速度分布計測技術(1速度成分)の開発,(2)各測定点の速度をベクトルとして計測するための技術開発,(3)光学系集積化の基礎検討を実施した. 研究課題(1)としては,昨年度に設計した回折格子および2枚のシリンダレンズを組み合わせたビームアレイ走査用光学系を3次元空間内の速度分布計測用光学系に適用した4×4チャネル実験系を構築した.波長走査による検証実験を行った結果,提案手法により3次元速度分布計測が可能であることを実証した.また,実験系での速度成分の測定不確かさを調査し,今後の検討課題を抽出した. 研究課題(2)としては,昨年度に引き続き,LabVIEWおよびデジタイザを利用した測定系による3速度成分同時計測の動作確認を実施した. 研究課題(3)としては,昨年度に引き続き,Nb2O5/SiO2系導波路を用いた3次元速度分布計測用集積型光デバイスに使用するためのビーム入出射用グレーティングカプラの高効率化検討を実施した.Nb2O5/SiO2マルチレイヤ構造の各層厚を決定する複数の手順を検討した.その結果,出射用グレーティングカプラと入射用グレーティングカプラに同一のNb2O5/SiO2マルチレイヤ構造を導入しても,光効率を出射用ならびに入射用グレーティングカプラのいずれも向上できることを確認した.
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