研究実績の概要 |
ドップラーLIDARでは、ドップラー周波数を測定するために、送信光の一部と受信光を干渉計に入れて干渉縞(「うなり」)を測定するヘテロダイン検波が使われている。本研究では、①「うなり」をガイガーモードAPDで測定し、②測定方法としてデジタルによる直接カウントかAPD出力を積分したアナログレベルの測定が適切かを評価し、③反射信号の干渉からうなり周波数をとらえる手法を実証し、ガイガーモードAPD(Si-MPPC)がドップラーLIDARの検出器として利用できることを示す。 2020年度は、上記①および②に相当する部分を実施し、赤外レーザを使用してマイケルソン干渉計を構成、Si-MPPCからのフォトイベントを高速ADコンバータを使用してデジタル化して計数することによって、光の強度変化をフォトイベント発生頻度で測定する方法を確立した。2021年度は、上記③に相当する部分について、②で確立した手法により干渉計の信号光に位相変調器によって負荷された100kHzのうなりの検出に成功した。 2022年度は、2021年度に引き続いて上記③に相当する部分について、マイケルソン干渉計の信号光を等速直線運動 (<1m/s) をおこなうプリズムで折り返すことによって、ドップラー周波数を発生させる装置を構築した。この結果0.8 m/sの等速直線運動を行うプリズムが発生するドップラ周波数2 MHzを検出することに成功し、本研究の目的である「ガイガーモードAPD(Si-MPPC)がドップラーLIDARの検出器として利用できることを示すこと」を達成することができた。 本研究成果を、International Conference on Space, Aeronautical and Navigational Electronics 2022にて指導学生が発表し、Encouragement Awardの表彰を受けた。
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