研究課題/領域番号 |
19K04443
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研究機関 | 東京電機大学 |
研究代表者 |
大塚 尚久 東京電機大学, 理工学部, 教授 (30185318)
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研究期間 (年度) |
2019-04-01 – 2024-03-31
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キーワード | 不変部分空間 / 切り替えシステム / Positive線形システム / Impulsive線形システム / Positiveオブザーバ / ロバスト性 |
研究実績の概要 |
(1) 研究目的の①で述べられた,「サブシステムの族に対するロバスト不変部分空間の概念」として,新たにロバストハイブリッド不変部分空間の概念を導入した.さらに,この概念を不連続なジャンプをもつ,いわゆるImpulsive線形システムに応用し,外乱除去問題の可解条件と安定性の併合問題の可解条件が得られた.本研究は,イタリアの共同研究者であるG. Conte教授,A. M. Perdon教授とE. Zattoni教授との共同研究で,International Journal of Robust and Nonlinear Control, Wiley, 2021なる学術雑誌に掲載された. (2) 研究目的の④で述べられた,「切り替えシステムを構成するサブシステムに構造的不確かさをもつ連続時間および離散時間Positive切り替えシステム」に対して,恒等(Full-order) 区間切り替えオブザーバが設計できるための条件が得られた.さらに,数値例によって結果の有効性を確かめた.研究成果は,IFAC World Congress2020にてオンラインによる論文発表が行われ,IFAC Papers Onlineに掲載予定である.さらに,連続時間Positive線形システムに対する区間Reduced-order Positiveオブザーバが設計できるための条件が得られ,その成果は,24th International Symposium on Mathematical Theory of Networks and Systems (MTNS)に採択され論文発表を行う予定であったが,コロナ禍の中で会議は中止になった.以上の成果は,研究協力者である筧氏との共同研究である.
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
今年度は,研究目的の①で述べられた,「サブシステムの族に対するロバスト不変部分空間の概念」として,新たにロバストハイブリッド不変部分空間の概念を導入,当初対象としていなかったImpulsive線形システムに応用することができた.この研究は,イタリアの3人の共同研究者らと,電子メールにて情報交換を行いながら研究を進めてきたものであり,その成果は,国際的に権威のある学術雑誌(International Journal of Robust and Nonlinear Control, Wiley)に掲載され,今後もこの方向で研究を進めていく予定である.また,研究目的の④で述べられた,「切り替えシステムを構成するサブシステムに構造的不確かさをもつ連続時間および離散時間Positive切り替えシステム」については,研究協力者と電話および電子メールにて情報交換を行いながら研究を進めてきたものであり,その成果は,IFAC World Congressでオンラインによる論文発表を行うことができた.また,連続時間Positive線形システムに対する区間Reduced-order Positiveオブザーバが設計できるための条件が得られ,国際会議論文として採択された.さらに,その拡張でもある不確かさを含む連続時間および離散時間切り替えPositive線形システムに対する区間Reduced-order Positiveオブザーバについても研究が進められている.一方,連続時間切り替えシステムの安定性に関する基礎的研究として,各サブシステム行列がブロック三角行列の場合について,任意切り替えのもとで指数安定であるための条件についても研究を進めている.
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今後の研究の推進方策 |
今後の研究について,まず,2020年度の研究成果(1)をさらに加速させ,切り替えImpulsive線形システムへの応用の可能性について研究する.また,「周期係数線形切り替えシステム」と「切り替えPositiveシステム」に対して,ロバスト不変部分空間(または不変部分集合)の概念とその性質について研究を加速する.最後に,新型コロナウイルスの影響で共同研究者との直接面談による研究打ち合わせは難しい状況であるため,当面の間,共同研究者とはメール等によって研究打ち合わせを行う.
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次年度使用額が生じた理由 |
本年度は,コロナ禍の中,オンラインによる国際会議への参加が1件のみであり,旅費の支出がなかったため,残った研究費を次年度に繰り越した.しかしながら,新型コロナウイルスの影響により,2021年度も国際会議出席のための旅費が支出可能かどうかは未定である.今後のコロナウイルスの影響がどうなるかによって,国際会議への参加および研究協力者との研究打ち合わせ等が難しくなることが予想されるが,それらが可能になったら,旅費と論文掲載料等に使用したいと考えている.
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