研究実績の概要 |
昨年度から引き続き「切り替えシステムに対する外乱除去問題と安定性の可解条件を与えること」が目的であった.その中で以下の研究実績が得られた. (1)昨年度の研究で得られた成果に基づいて,不連続なジャンプをもつ線形システムいわゆるImpulsive線形システムに対して,ハイブリッド(C,A,B;J)-pairの概念が導入され,動的補償器(Dynamic Output Feedback)を用いた外乱除去問題と安定性の可解条件が得られた.本研究は,新たにイタリアの共同研究者(E. Zattoni)が加わり,下記の国際会議で採択され論文発表を行う予定である. E. Zattoni, N. Otsuka, A. M. Perdon, and G. Conte, Disturbance Decoupling by Dynamic Output Feedback for Impulsive Systems with Periodic Jumps, 30th Mediterranean Conference on Control and Automation MED2022, Accepted, Greece, Athens, 2022. (2) 不確かさを含むPositive線形切り替えシステムに対して,Reduced-Orderの区間Positiveオブザーバが存在するための条件が得られた.得られた成果は,昨年度の成果に基づいて切り替えシステムに発展されたものであり,学術雑誌への掲載を目指す. (3) 線形切り替えシステムの安定性に関する基礎的研究として,各サブシステム行列がブロック三角行列の場合について,任意切り替えのもとで指数安定であるための条件が得られた.また,本研究において重要な正規行列について,2次と3次の正規行列のパラメータ表現が与えられた.
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
今年度は,研究目的で述べられた,「サブシステムの族に対するロバスト不変部分空間の概念」として,新たにハイブリッド(C,A,B;J)-pairの概念が導入され,Impulsive線形システムに対する動的補償器を用いた外乱除去問題に応用することができた.この研究は,イタリアの3人の共同研究者(E. Zattoni, A. M. Perdon, and G. Conte)らと,電子メールにて情報交換を行いながら研究を進めてきたものであり,その成果は,国際会議(30th Mediterranean Conference on Control and Automation MED2022)に採択され,論文発表する予定である.また,「切り替えシステムを構成するサブシステムに構造的不確かさをもつ連続時間および離散時間Positive切り替えシステム」については,筧氏との共同研究者において,Reduced-Orderの区間Positiveオブザーバが存在するための条件が得られた.さらには,不確かさを含むImpulsive線形システムに対してロバストモデルマッチング問題の可解条件について研究している.一方で,連続時間および離散時間の線形切り替えシステムの安定性に関する基礎的研究として,各サブシステム行列がブロック三角行列の場合について,任意切り替えのもとで指数安定であるための条件が得られている.本研究の非線形切り替えシステムと無限次元切り替えシステムへの応用は,今後の研究に残されている.
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