研究課題/領域番号 |
19K04444
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研究機関 | 明治大学 |
研究代表者 |
市原 裕之 明治大学, 理工学部, 専任教授 (70312072)
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研究分担者 |
澤田 賢治 電気通信大学, i-パワードエネルギー・システム研究センター, 准教授 (80550946)
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研究期間 (年度) |
2019-04-01 – 2022-03-31
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キーワード | 制御系設計 / 可到達集合 / 不連続システム |
研究実績の概要 |
本研究では,可到達集合に基づいて不連続入出力を有する制御システムの解析と設計を目的としている.2021年度は時変な不確かさを有する線形離散時間システムに対する自己駆動型の確定的なモデル予測制御を検討において,これに加えて再帰的可解性を検討した.ある時刻でモデル予測制御問題が可解であるとき,外乱のもとで自己駆動によるサンプリングをしない区間を経て次のサンプリング時に制約を満たすための入力列の1つを構成できる見通しが立った.実際はサンプリングした時点の状態に基づいてモデル予測制御問題の最適解を得ることになるが,実行可能解の1つを構成できることを示すことで再帰的可解性を主張することができる.一方で,ネットワーク化制御によるボトムアップ的なアプローチとして,離散時間系の拡大プラントに対して静的なフィードバック制御則による事象駆動制御を数値最適化問題で定式化することを前年度までに検討していた.その結果,従来行っていた近似を必要とせずに効率的に設計条件を与えることができた.また,連続時間系に対しても同様なアプローチによって計算効率の良い定式化が可能となる見通しが立った.一方で,障害物回避を考慮した移動体のフィーメーション制御のための準備を引き続き行った.リーダ・フォロア型の移動体間の相対的な距離に基づいてフォーメーションを達成するために,隣接するエージェント数が2以下の場合にリーダの任意の移動に対してフォロアが追従し漸近的に偏差が0に収束することを示すことができた.また,移動体の高速かつ低負荷なモデル予測制御を実現するために,主双対勾配法に基づく連続時間アルゴリズムの開発を行った.制御システムが線形な場合は連続時間アルゴリズムの数値的安定性を証明した.また,制御システムが非線形な場合は,非線形システムの状態予測アルゴリズムを主双対勾配法に帰着する方法を与えた.
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
研究代表者と分担者(澤田氏)による単一の拡大プラントに対する静的な出力フィードバック制御則による事象駆動型制御系の設計法に関する論文は,計測自動制御学会論文集に掲載された.さらに,制御則と事象駆動制御則の同時設計法に関する論文は,国際会議 IFAC World Congress 2020 で発表した.現在,これらの成果をまとめている.また, 連続時間系への拡張について検討を続けている.さらに,これらの成果をサーボ系に拡大した結果を SICE Annual Conference に投稿している.また,モデル予測制御の主双対勾配法に基づく連続時間アルゴリズム表現についてはSICE Annual Conferenceに投稿している.
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今後の研究の推進方策 |
2021年度は自己駆動型モデル予測制御に対して移動体の障害物回避の検討を行う.障害物回避においては,障害物制約を含むモデル予測制御問題の双対問題を検討し凸問題として定式できるように検討を行う.また,連続時間系に対する拡大プラントに対する事象駆動制御について成果をまとめる.さらに,クアッドロータに対して主双対勾配アルゴリズムによる非線形モデル予測制御の高速化について成果をまとめる.特に,目標状態に対する主双対勾配法アルゴリズムの収束性についての議論を行う.
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次年度使用額が生じた理由 |
学会がオンライン開催となり渡航費が不要となったため.今年度はまだオンサイト開催の可能性が残っている.
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