研究課題/領域番号 |
19K04447
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研究機関 | 立命館大学 |
研究代表者 |
鷹羽 浄嗣 立命館大学, 理工学部, 教授 (30236343)
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研究分担者 |
大橋 あすか 香川高等専門学校, 一般教育科, 助教 (50782166)
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研究期間 (年度) |
2019-04-01 – 2023-03-31
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キーワード | 分散協調状態推定 / ベイズ推定 / カルマンフィルタ / SLAM |
研究実績の概要 |
本研究では,非線形システムを対象とした高精度・高効率な分散協調型状態推移定アルゴリズムを提案し,それらを複数ロボットによるSLAMに応用することを目的としている. 先行研究で提案されている合意型分散協調カルマンフィルタは最適性を有しておらず,観測値伝搬型分散カルマンフィルタ(他の全てのノードから遅延を許容して集めた観測値を用いた推定手法)よりも推定精度が劣化する場合があることが指摘されている. これに対して我々は,環状トポロジーのネットワークに対して,観測値伝搬の代わりに隣接ノードの状態推定値を用いる新しい分散協調型カルマンフィルタをベイズ推定の考え方に基づいて提案した(論文発表済).提案アルゴリズムの特徴としては,観測値伝搬型のように遠いノードからいくつものノードを経由して観測値を集める代わりに,隣接ノードの状態推定値の現在と過去の値を利用することによって最適な状態推定を実現している点にある.この結果を非線形システムに拡張して,新しい分散協調型Unscentedカルマンフィルタのアルゴリズムを導出し,レーダーアレイによる追尾フィルタのシミュレーションでその有効性を検証した(学会発表済). さらに,一般のネットワークトポロジーの場合への拡張についての理論的検討および複数ロボットSLAM問題への適用を試みたが,まだ十分な研究成果が得られていないため,研究期間を延長して研究を継続することとした.
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
環状ネットワークに限定しているが,本課題の目標の一つである非線形システムに対する最適な分散協調型推定アルゴリズムを導くことができている.環状ネットワークでは1つのノードに隣接するノードは1つだけであるのに対して,一般のネットワークでは複数ノードが隣接するので,ベイズ推定の確率密度関数の更新式から状態推定アルゴリズムを導出する式変形に難があり,頓挫している. また,複数ロボットSLAMへの応用については,移動ロボットを購入し実験データを計測する環境を整えたが,コロナ禍による研究室入室制限や実験を担当する大学院生の事情により,実験データを取得するに至っていない.
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今後の研究の推進方策 |
引き続き,一般的なネットワークの場合に対する分散協調カルマンフィルタおよび分散協調Unscentedカルマンフィルタのアルゴリズムを検討する. また,移動ロボットを用いてSLAMの実験を実施し,提案した分散協調型Unscentedカルマンフィルタの複数ロボットSLAMにおける実用性・有用性を検証する.
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次年度使用額が生じた理由 |
研究期間を延長したため,延長期間における研究費とする. 主に,研究成果発表のための旅費・学会参加費および複数ロボットSLAMの実験費用に充てる予定である.
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