研究課題/領域番号 |
19K04452
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研究機関 | 千葉大学 |
研究代表者 |
劉 康志 千葉大学, 大学院工学研究院, 教授 (70240413)
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研究期間 (年度) |
2019-04-01 – 2022-03-31
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キーワード | 協調最適化 / 風車制御 / 蓄電設備の制御 / 事故時継続運転能力 / 仮想同期発電機 |
研究実績の概要 |
1.風力発電機と蓄電設備の共同制御 本手法では、主に風車の回転エネルギーを制御することによって風力出力を平滑化している。また、風車エネルギーの放出しすぎによる運転停止を防ぐため方策もとっている。本手法により、平滑に必要な蓄電設備の容量を低減させることができ、風車寿命期間内での収益を0.967%~1.7%改善できることが分かった。 2.風力発電機と蓄電設備の協調制御 我々のグループで提案した風車と蓄電設備の制御システムに、二つのゲインが重要な役割を担っている。これらを固定すると、風車と蓄電設備の協調制御に制限をもたらすことになり、最適な協調制御ができない。そこで、出力平滑化、蓄電設備の出力電力及び残存エネルギーに関する評価関数を最小化するようにこれらのゲインをオンラインで逐次変更する方策をとった。その結果、蓄電設備の寿命を大幅に伸ばすことができるようになり、全体として発電コストを抑えることに成功した。 3.風力発電機事故時継続運転能力向上の制御方法 電力系統の事故によって電力変換設備に損傷を与えることを避けるために、Crawbar などの保護装置が設置されている一方、系統要件を満たすためになるべく保護装置の早期な解除が求められる。しかし、適切なタイミングで解除しないと、再び過電流に陥り電力変換設備を壊す恐れがある。そkで、本研究ではその最適な妥協点を解析的に見出す手法を編み出した。 4.仮想同期発電機の制御法と最適な分散配置法 スマートグリッドにおいて、発電設備の慣性が著しく低下し、系統全体の安定性を脅かしている。これを防ぐために、蓄電設備を仮想の同期発電機として運転させ系統安定性を保証する方法がとられている。本研究では、仮想同期発電機における過電流現象を抑えられる手法、および仮想同期発電機の効果を最大にするための電力系統にける効率的な配置法を開発した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
研究概要に書いたとおり、以下成果が得られた:1)風力発電機と蓄電設備の共同制御の方法、2)風力発電機と蓄電設備の協調制御の方法。 また、関連成果として以下が得られた:3)風力発電機事故時継続運転能力向上の制御方法、4)仮想同期発電機の制御法と最適な分散配置法。 以上の結果により、最終目標に大きく近づいてきた。
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今後の研究の推進方策 |
残り1年間では、実用化に重点を置いて、以下の研究と研究報告のとりまとめを実施する。 1.風力発電機と蓄電設備の協調制御法の実用化 2.風力発電機事故時継続運転能力向上の制御法の実装 3.仮想同期発電機の制御法の実装 4.仮想同期発電機の最適な分散配置法の実用化
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次年度使用額が生じた理由 |
コロナ禍の影響で、予定されていた学術会議参加、学術交流などに伴う旅行はすべて取りやめになったためである。 今年度は、設備購入充てる費用を増やすと共に、研究補助者の雇用時間も増やす予定である。
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