研究課題/領域番号 |
19K04453
|
研究機関 | 静岡大学 |
研究代表者 |
片山 仁志 静岡大学, 工学部, 准教授 (20268296)
|
研究期間 (年度) |
2019-04-01 – 2023-03-31
|
キーワード | 非線形オブザーバ / 非線形サンプル値制御 / ネットワーク制御 |
研究実績の概要 |
R1, R2 年度は、厳密フィードバック系を「任意の線形ダイナミクス+厳密フィードバック系」に状態拡張した場合に対するサンプル値低次元オブザーバの設計法を考え、従来結果 (Katayama, International Journal of Control (IJC) 2016, 2019) の拡張から具体的なサンプル値オブザーバ設計が可能となる十分条件と具体的な設計法を構築した。提案設計法のサンプル値フィードバック線形化システムの追従制御への応用とサンプリング周期が時変となるネットワーク制御系への拡張も提案した。加えて、R3年度は連続時間オブザーバの時変なサンプリング周期を持つサンプル値系とネットワーク制御系への現実的なデジタル実装法を考案した。 本研究の実機試験面の目標は、「移動体ロボットのカメラ画像計測に基づくネットワーク制御系の構築」と提案するオブザーバの提案設計法の有効性の確認を行うことである。R1-R3 年度は、移動体ロボットのカメラ画像計測に基づくネットワーク制御系の構築し、ロボットの安定化制御、合意制御、フォーメーション制御の実機実験を行い、構築したネットワーク制御の実験システムの動作確認を行った。また、ネットワーク制御系のサンプリング周期が時変になることとパケット落ちなどのネットワーク系固有の問題が発生することも確認した。また、R3年度は特に、ネットワーク制御系への連続時間オブザーバと制御器のデジタル実装に注目し、この観点からのモバイルロボットのネットワーク制御系の制御問題にも取り掛かっている。
|
現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
制御理論面の進捗状況は、厳密フィードバック系に任意の線形ダイナミクスで厳密フィードバック系を状態拡張した場合に対し、従来結果 (Katayama, IJC 2016, 2019) の拡張から具体的なサンプル値オブザーバ設計が可能となる十分条件と具体的な設計法を構築した。提案法のサンプリング周期が時変となるネットワーク制御系への拡張も提案した。また、連続時間オブザーバの時変なサンプリング周期を持つサンプル値系とネットワーク制御系への現実的なデジタル実装法を考案した。 実機試験面の進捗状況は、移動体ロボットのカメラ画像計測に基づくネットワーク制御系の構築を行い、ロボット1台の安定化制御、4台のロボットによる合意制御とフォーメーション制御の実機実験により、構築したネットワーク制御の実験システムの動作確認を行った。また、ネットワーク制御系のサンプリング周期が時変になることとパケット落ちなどのネットワーク系固有の問題が発生することも確認した。
|
今後の研究の推進方策 |
R1, R2 年度は「厳密フィードバック系+状態拡張」の場合の低次元オブザーバ設計法と追従制御への応用を議論した。R3 年度は R1, R2 年度で取り上げた「厳密フィードバック系+状態拡張」に変換可能な非線形システムのクラスと必要な状態変数変換を導出し、R1, R2 年度の結果を利用して具体的なサンプル値オブザーバ設計法を構築する。また、サンプリング周期が時変な場合とネットワーク制御系への拡張を議論する。加えて、ネットワーク制御系へのオブザーバと制御器のデジタル実装に注目し、この観点からのネットワーク制御系の設計問題とモバイルロボットのネットワーク制御系の制御問題にも取り掛かっている。
|
次年度使用額が生じた理由 |
ネットワーク制御システムの構築に必要なコンピュータやカメラシステムなどを予定より格安で実現できたため、物品費を予定より使用しなかった。また、R1, R2 年度の参加国際会議が全て日本国内開催されたこと、コロナウイルスの影響により R1-R3 年度の国内会議と R3 年度の国際会議がオンライン開催や延期・中止になったため、出張旅費を予定より使用しなかった。 R4年度の国内会議、国際会議は従来通りの対面形式で実施される可能性が高いため、未使用の出張旅費等を使用すると共に、論文の掲載費等で使用する予定である。
|