研究課題
本課題の最終年度となる本年度は,回路等のモデルの精緻化や列車の運行計画に関わる部分に踏み込んだ検討,及び,逆強化学習の導入を行った。前者では,中国やインドの例も含め,電力供給システムをより正確にモデル化する検討を進めた。そのモデルを実装したうえで,フレキシビリティの高い条件のもとでの複雑なダイヤ最適化を行い,旅客サービスレベルを維持したままで省エネを実現した。また,カーボンニュートラル化という課題を見据え,太陽光発電で列車を駆動する場合の回路方式とそのモデル化に加え,単相交流き電方式への適用時の波形歪みの問題についても検討を行った。さらに,中周波交流が介在した新しい車両主回路のような,将来のトレンドとなる方式のモデル化手法等についても検討を行った。後者では,これまでの強化学習応用の検討で報酬の設計の難しさがあったことから,手本となる既知の最適解から報酬を設計する逆強化学習の導入を検討した。自動運転への適用により,その基本的有効性を実証できた。最後に,本課題の全体を振り返る。計画では,物理現象を良く理解した機電系の研究者と人工知能を新たに制御に取り入れる情報系の研究者とが協調し,物理現象をきちんと考慮したうえで,人工知能技術を適用し 鉄道システムの省エネルギー及び旅客サービスを高いレベルで実現する方法論を構築するという目的を掲げていた。補助事業期間全体を通じ,強化学習を用いた新しい制御手法を進展させ,地上設備の電力機器の制御方法へ応用し,その定量的な効果実証をきちんと行ったことが最も大きな成果として挙げられる。これに付随して,より精緻な制御や効果評価を実現するために,地上・車上の回路モデル等の深度化も継続して検討した。総合して,当初の目標を概ね達成するに至ったと評価する。研究成果はこれまで学術論文,査読付国際会議や,学会における口頭発表などで積極的に公開を行ってきた。
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すべて 雑誌論文 (3件) (うち査読あり 3件) 学会発表 (4件) (うち国際学会 2件、 招待講演 1件) 図書 (1件) 備考 (3件)
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