研究実績の概要 |
本研究ではスピントロニクス素子の接合界面における磁化反転に伴う動的電子状態を明らかにすることを目的とする。2022年度は②スピン・軌道/磁気量子数別(|m|=0, 1, 2)磁化曲線の磁化反転に伴う動的挙動と磁歪などの磁気特性との関連の解明に着目し以下を行った。 1.2019年度に開発したひずみゲージを用いた磁歪測定システムによる磁歪測定結果とスピン・軌道磁化の磁化反転挙動の関連の検討: 2019年度に開発したひずみゲージを用いた磁歪測定システムによる磁歪測定結果とスピン・軌道磁化の磁化反転挙動の関連を検討した。ナノ構造を付与することで巨大磁歪効果が報告されているFe-Co系に着目し、ナノ構造を制御したFe/Co多層膜の磁歪の磁場依存性とスピン・軌道/磁気量子数別(|m|=0, 1, 2)磁化曲線の関連の検討を行った。その結果、磁歪の大きな系では、軌道磁化曲線・磁気量子数|m|=2の磁気量子数別磁化曲線の挙動が磁歪と関連する可能性が示唆された。 2.ナノ構造を有するFe/Co多層膜におけるmajority電子・minority電子の磁場依存性: 新たにmajority電子とminority電子に分離した解析手法を導入し、ナノ構造を有するFe/Co多層膜の巨大磁歪効果とmajority電子とminority電子の磁場依存性に関する解析を開始した。解析を検討した結果、majority電子・minority電子における3d電子の対称性に磁場依存性があり磁歪に関連する可能性があることが見出された。 3.Fe83Fe17単結晶(Galfenol)のスピン・軌道磁化反転挙動・majority/minority電子の磁場依存性と磁歪: さらに、大きな磁歪を有するFe83Fe17単結晶の磁気コンプトン磁場依存性を測定し、Fe/Co多層膜と同様の解析を行った。
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