研究課題
基盤研究(C)
時間依存型の抵抗変化特性を示す酸化物系メモリスタについて,透過電子顕微鏡その場観察と理論計算を連携した解析を行った.バイアス電圧印加のもとでの電気特性評価と同期した高分解能電子顕微鏡観察により,抵抗変化の起源となる微細構造の変化をナノメートルスケールで動的に観測することに成功した.微細構造変化をもたらす酸素欠陥(空孔)の挙動にもとづき抵抗変化メカニズムを議論するとともに,多端子型メモリスタ素子を用いた時間依存型シナプス特性や連合学習の実装を行った.
ナノ構造解析
本研究の電子顕微鏡観察にもとづく解析の結果から,抵抗変化(メモリスタ)素子の特性発現の鍵となる動的な微細構造変化の詳細が明らかになった.これらの知見は,未だ不明な点が多いメモリスタ素子の動作機構の理解を深めるとともに,メモリスタの挙動をより微細な時空間スケールで制御するための指針になると考えられる.これにより,抵抗変化現象にもとづく高効率・高機能な新規不揮発メモリおよび人工シナプス素子の開発に役立つと期待される.