研究課題/領域番号 |
19K04486
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研究機関 | 東北大学 |
研究代表者 |
陣内 佛霖 東北大学, 材料科学高等研究所, 助教 (60807692)
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研究期間 (年度) |
2019-04-01 – 2022-03-31
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キーワード | スピントロニクス / 微細加工 / 微細構造表面 / 磁気トンネル接合 |
研究実績の概要 |
極微細スピントロニクスデバイスでは、微細構造表面の寄与が大きくなるため、その表面磁気特性がデバイス特性を左右する。したがってその表面磁気特性を評価し制御することがデバイス特性の高性能化にとって重要となる。本研究では、デバイス特性の高性能化を目指し、微細構造表面における磁気特性が実デバイスのデバイス特性や磁化反転機構にどのように影響するかを理解し、その知見を基に高性能極微細スピントロニクスデバイス実現のための微細化技術の設計指針を明らかにすることを目的としている。具体的には、サブ10 nm領域のスピントロニクスデバイスとして提案されている形状異方性磁気トンネル接合デバイスの作製プロセスを確立し、材料・プロセスを変化させたときの熱安定性や電流磁化反転などのデバイス特性評価から、微細構造表面の磁気特性に関する理解を深める。
令和2年度は、サブ10 nmサイズの形状異方性磁気トンネル接合デバイスにおける物理の理解を深め、その理解に基づき新構造を採用した形状異方性磁気トンネル接合デバイスを作製しその特性を評価した。自由層の膜厚およびサイズを変えて反転磁場の角度依存性を評価し、その膜厚やサイズによって磁化反転モードが変化することを明らかにした。さらに、薄い自由層でも高い熱安定性を保持しながら微細化を実現するために、強磁性積層構造を自由層に適用した形状異方性磁気トンネル接合デバイスを設計・作製・評価した。その結果、2021年4月現在世界最小直径2.3 nmでのデバイス動作を確認し、サブ10 nmサイズで高温での高い熱安定性・高速磁化反転などの高性能特性が得られた。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
1: 当初の計画以上に進展している
理由
プロセス条件とデバイス特性の関係を詳細に調べることで計画調書に記載したように微細構造表面の磁気特性とかつその有効な制御方法が明らかになっただけでなく、当初は想定していなかったが、その知見を発展させて高い性能が得られる構造を考案し、IEDMでの発表に結び付けた。
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今後の研究の推進方策 |
令和3年度は、強磁性積層構造による形状磁気異方性磁気トンネル接合デバイスの電流磁化反転機構の理解を深め、高性能極微細スピントロニクスデバイスの設計指針を示す。
具体的には、令和2年度の実デバイス評価で得られた強磁性積層構造における反転電流の各自由層膜厚依存性と、数値計算を組み合わせて、強磁性積層構造の電流磁化反転機構を解明する。
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次年度使用額が生じた理由 |
大学クリーンルーム施設利用料が利用時間によって変化するため使用計画とのズレが生じた。残額は次年度のクリーンルーム施設利用料に充当する。
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