研究課題/領域番号 |
19K04487
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研究機関 | 電気通信大学 |
研究代表者 |
塚本 貴広 電気通信大学, 大学院情報理工学研究科, 助教 (50640942)
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研究分担者 |
須田 良幸 東京農工大学, 工学(系)研究科(研究院), 名誉教授 (10226582)
広瀬 信光 国立研究開発法人情報通信研究機構, 未来ICT研究所企画室, エキスパート (90212175)
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研究期間 (年度) |
2019-04-01 – 2022-03-31
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キーワード | GeSiSn / GeSn / ヘテロ接合 / 結晶成長 / スパッタエピタキシー |
研究実績の概要 |
本研究では、Ⅳ族半導体GeSiSnによる格子定数整合系ヘテロ接合を用いたGeSiSn/Ge(Sn)共鳴トンネルダイオード(RTD)の試作に向けた要素技術の開発に取り組んでいる。GeSiSn/Ge(Sn)ヘテロ接合技術は、本研究のコア技術であり、目的とするRTDデバイスの特性を決定する。これまでに、GeSiSn/Ge量子井戸の形成に成功しているが、ここではGeSnを用いたGeSiSn/GeSnヘテロ接合形成技術の開発に取り組んだ。GeSnはGeSiSnよりもSn析出が起こりやすいため、最適な成膜温度を明らかにする必要があり、GeSiSn/GeSn量子井戸の設計や最適な形成条件の探索を進めた。GeSiSn/GeSnヘテロ接合形成においては、GeSn薄膜が薄い場合は高温で成膜可能であることを明らかにし、GeSiSn/GeSn量子井戸形成に適応したところ、290℃の比較的高温にて形成可能であることが分かった。これは優れた結晶性の薄膜形成が達成されただけでなく、GeSiSn/GeSn-RTD素子の上層部p型Ge(Sn)コンタクト層の活性化率向上に極めて有効であり、直列抵抗の低減も期待される。また、GeSnバッファ層形成にも取り組んでおり、高Sn組成GeSnを用いた量子井戸形成が期待される。本研究では、GeSiSn/GeSnヘテロ接合形成技術の開発を試み、GeSiSn/GeSn-RTDの特性向上に向けた成膜条件を見出した。今後の研究の展開として、最終的に試作を目指すGeSiSn/Ge(Sn)-RTD素子開発に本技術を適応していく。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
本研究では、Ⅳ族格子定数整合系GeSiSn/Ge(Sn)ヘテロ接合を用いた共鳴トンネルダイオード(RTD)の開発を行っている。GeSiSn/Ge(Sn)ヘテロ接合技術は、目的とするRTDデバイスの特性を決定する本研究のコア技術である。本研究では、GeSiSn/Ge(Sn)ヘテロ接合形成技術の開発を試み、GeSiSn/Ge(Sn)ヘテロ接合の結晶性評価及び晶性向上に向けた指針を見出し、直列抵抗低減の可能性を見出した。最終的に試作を目指すGeSiSn/Ge(Sn)-RTDデバイスの特性向上に貢献し得る技術の開発に成功しており、おおむね順調に進展している。
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今後の研究の推進方策 |
今後の研究は、当初の予定から大幅な変更はなく、計画通りに進める予定である。 これまでの研究成果をもとに、GeSiSn/Ge(Sn)-RTD素子開発に関する要素技術の開発を行う。例えば、直列抵抗の低減に向けた技術開発、オーミック電極における接触抵抗の低減など、GeSiSn/Ge(Sn)-RTD素子のプロセス技術の開発を進める。また、GeSiSn/Ge(Sn)ヘテロ接合界面の急峻性の評価にも取り組み、素子特性の向上に取り組む予定である。
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