研究実績の概要 |
本研究では、発光波長が環境温度に依存しない高輝度発光デバイスの実現を目指し、希土類元素ドープ酸化物半導体混晶薄膜の成長と希土類元素の励起機構の解明を目的としている。具体的には、パルスレーザー堆積法を用いて希土類元素ドープ(Al,Ga)2O3混晶膜の高品質成長技術を確立し、母体材料のバンドギャップと発光強度の関係を明らかにするとともに、希土類原子の結合状態、局所構造を解明する。また、発光効率を増加させるため、共ドープ技術を用いたGa2O3結晶膜の作製を行い、シンクロトロン光による励起波長が可変なフォトルミネセンス方法を用いて、希土類元素ドープ発光のエネルギー輸送機構を解明し、高効率発光における共ドープ元素の制御方法の確立を目指している。 令和2年度は、引き続きパルスレーザー堆積法により、サファイア基板上に希土類ドープ(AlGa)2O3を作製した。希土類元素Erのドープ量を一定とし、異なるAl含有量のターゲットを用いて薄膜を作製し、得られた薄膜の結晶性、光学特性等を調べ結果、薄膜のバンドギャップを大きくすることにより、発光効率が改善されることが分かった。また、希土類元素EuとErの添加量を制御することにより、黄色の発光特性が得られ、デバイスの作製に成功した。これらの研究成果の一部は、国際論文誌Journal of Luminescence, AIP Advances,Superlattice and Microstructures等に公表した。また、2020年に開かれたThe 10th International Conference on Electronics, Communications and Networksなどの国際会議で招待講演を行い、研究成果を紹介した。
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