| 研究課題/領域番号 |
19K04508
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| 研究機関 | 電気通信大学 |
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研究代表者 |
來住 直人 電気通信大学, 大学院情報理工学研究科, 教授 (10195224)
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| 研究期間 (年度) |
2019-04-01 – 2023-03-31
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| キーワード | 多重コア光ファイバ / 微細構造光ファイバ / 固有モード解析 / 電磁界の境界条件 / ベクトルモード電磁界 |
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| 研究実績の概要 |
本計画においては、径の微小な複数のコアが、径10ミクロン程度の領域に密集して存在する光ファイバ構造の特性解明が目的である。今年度は、円周上配置nコアファイバの電磁界と、単一コア光ファイバの電磁界との類似性についての検討と、円周上コアに加えて中心コアを有する系のベクトルモード電磁界解析プログラムの作成を行った。
昨年度に作成と有効性の検証を行った、円周上配置nコアファイバの電磁界解析プログラムを用い、系を構成する各コアの電磁界分布の特性を明らかにするために、その電磁界と単一コアの電磁界との類似性の検証を行った。類似性は、電磁界の直交性の定義に用いられるポインティングベクトルを参照して定義した類似度係数を用いて定量的に検証した。その結果、nコアファイバの電磁界は、各コアが密集し、コア間の電磁界の結合が大きい「強結合」の場合においても単一コアの電磁界と大きな差がないことと、類似性はコア間の距離が大きいほど高くなることが明らかになった。さらに、類似度係数の周波数特性の解析を行い、低周波(長波長)、高周波(短波長)に限らず両者の類似性は高くなることも明らかになった。この結果と、過去に行った、化学の分子軌道法に類似の手法を取り入れたnコアファイバの近似解法による解析結果を比較することにより、この近似解法の有効性についても検証することが出来た。
中心コアを有する系のベクトルモード電磁界解析プログラムについては、概ね完成しているが、境界条件の成立精度の検証については未完である。
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| 現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
群論適用点整合法を用いた円周上配置nコア構造におけるベクトルモード電磁界解析については、各コアの電磁界の詳細な解析を行い、強結合においても各コアの電磁界は単一コアとほぼ同一であることを明らかにすることができたが、中心コアを有する系の解析プログラムについては年度中の完成を目指していたにもかかわらず、有効性の検証が未完となっている。微細径密集コア構造の作成については、現時点では困難であることがわかり、研究の方針の変更の必要が生じている。このような進捗状況を総合して、上記のように評価した。
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| 今後の研究の推進方策 |
中心コアを有する系の解析プログラムについては年度の前半に完成を目指し、円周上配置nコア構造と同様に、電磁界の詳細な解析を行うことでその特性を明らかにする。併せて、分子軌道法に基づく近似解法との比較も行う。これらを踏まえて、微細構造光ファイバのベクトルモード電磁界分布と波長特性の解析を行い、それらの構造パラメータが特性に及ぼす影響を解析し、微細コア構造の特徴的な特性の発見と解明を行う。特性の実験的検証については、波長分散特性の測定系の構築を行い、微細径密集コア構造を含めた多重コア構造の波長分散特性の計測を行えるようにする。
最終的には、円周上配置nコア構造と円周上配置nコア+中心コア構造の解析から明らかになる、構造パラメータが特性に及ぶ影響や中心コアの有無の効果を踏まえ、微細径密集コア構造の、単一コアや、非微細多重コア構造等の従来の光ファイバ構造との特性の差異を明らかにし、デバイスへの応用が可能な実用的な特性の探索を行う。
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| 次年度使用額が生じた理由 |
COVID19感染に伴い出張などの学外活動の制限がなされたため、他の研究機関や研究者との対面の交流や打合せが不可能となり、旅費の使用や実験の準備などが不可能となり、今年度の予算の執行は0となった。当初計画においては、2019年度から3年間となっていた研究期間を1年拡大し、2019年度から2022年度までの4年としたが、2021年度も2020年度に引続き、COVID19感染の影響により計画の進捗が滞ってしまった。
2022年度においては、未実施となっている実験の準備や他機関の研究者との交流を行い、特性の解析と実験系の構築・特性計測を実施するように計画の変更を行った。
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