研究課題/領域番号 |
19K04516
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研究機関 | 八戸工業大学 |
研究代表者 |
嶋脇 秀隆 八戸工業大学, 大学院工学研究科, 教授 (80241587)
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研究分担者 |
村上 勝久 国立研究開発法人産業技術総合研究所, エレクトロニクス・製造領域, 主任研究員 (20403123)
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研究期間 (年度) |
2019-04-01 – 2022-03-31
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キーワード | 電子放出素子 / 面放出型 / ナノ結晶シリコン |
研究実績の概要 |
MOS(金属/酸化膜/半導体)構造からなる平面型(面放出型)電子放出素子は、量子力学的トンネル効果を利用して真空中にホットエレクトロンを放出する電子源で、動作電圧が低い、ビーム指向性が良い、低真空動作可能など、従来の針状の電子放出素子にはない優れた特長を有している。しかしながら、電子放出効率(電子取り出し効率)が低いという欠点があり、デバイス実用化を妨げている。本研究では、効率低下の要因となっている絶縁層および上部電極での電子の非弾性散乱を抑制するため、グラフェン/極薄酸化ナノ結晶シリコン膜/シリコン構造からなる面放出型電子放出素子を開発して効率の飛躍的な向上を実現することを目的とする。また、放出電子のエネルギー分布、膜厚依存性等を評価することで十分解明されていない微粒子系からの電子放射機構を明らかにすることを目的としている。本年度は、PLA時におけるナノ結晶シリコン薄膜の膜厚の面内均一性の改善とナノ結晶シリコン層の膜厚の異なるグラフェン/酸化ナノ結晶シリコン/シリコン積層構造電子放出デバイスの試作およびその特性評価を行った。その結果、ゲート電圧25V印加時に放出電流密度約0.1A/cm^2、最大電子放出効率約1.0%が得られた。ナノ結晶シリコン層の厚さの異なる素子からの放出電子のエネルギー分析により、グラフェンを用いることで上部電極内での散乱が抑制されていること、ナノ結晶シリコン層の走行距離に応じて大きく散乱されてエネルギー分散が広がることが分かった。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
COVID-19に関わる非常事態宣言発令や感染拡大等の影響で県を跨いだ移動が制限されたため、素子の試作等に支障が生じた。
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今後の研究の推進方策 |
高効率化に向けた不要なリーク電流を低減するための製作プロセスの改善、放出電子のエネルギー分析による微粒子系材料の伝導機構・電子放出機構の検討、素子の光応答性の評価等を行う。
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次年度使用額が生じた理由 |
COVID-19の影響で、県を跨いだ出張が制限されたこと、学会及び研究集会がオンライン開催となったこと等により、予定していた旅費に未使用分が生じた。次年度の旅費および物品購入費として使用する。
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