研究課題/領域番号 |
19K04518
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研究機関 | 東京都市大学 |
研究代表者 |
傘 昊 東京都市大学, 理工学部, 教授 (30400774)
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研究期間 (年度) |
2019-04-01 – 2023-03-31
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キーワード | AD変換器回路 / ハードウェア・セキュリティ |
研究実績の概要 |
本研究では, IoT 機器のデータ収集用ワイヤレス・センサによる測定データの窃取などから測定情報を保護できるセキュアなアナログ・デジタル変換器(ADC)回路技術の実現を目指している. IoT 時代における安全安心を実現すると同時に,IoT 機器の利便性と小型化のニーズに適するハードウエアセキュリティの実現が直面している技術課題を解決するために,数理理論に基づくAD 変換方式,小型ADC 回路実現手法とデジタル信号処理技術を融合したセキュアなAD 変換器回路を開発する. 本研究は3年間の計画で実施する予定で,初年度では,基礎技術の検討と新規要素回路の開発を行い,要素回路のLSI試作を行った.2年目では,試作した要素回路の測定・評価による実験検証を行った後,AD変換器全体回路設計に着手した.3年目である今年度では,低電圧で動作するセキュアなアナログ・デジタル変換器(ADC)のトランジスタ・レベルの詳細回路設計を行った.計算機シミュレーションにより,設計したADC回路の機能と詳細性能検証を行った.本研究で提案したい回路手法の実現可能性と低電圧でAD変換の有効性の実験検証を行うため,提案ADC回路を搭載したLSIチップの試作を行った.半導体工場生産周期が長くなった影響により,試作チップの納品が遅れ,年度内に試作チップを用いる実験検証はできなかったが,測定用電子回路基板設計,既存ADC測定・評価環境の更新を行い,より高効率に評価を行うデータ収集システムを開発した.次年度LSIチップ納品後,すぐにも測定開始と測定結果解析可能な環境を整えた.
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
本研究で提案した新規回路手法の実現可能性と有効性の実験検証を行うには,提案要素回路技術を含むADC回路の実測と性能評価は必要不可欠であり,実測実験用ADC回路のLSIチップ試作を行った.ADCの詳細回路設計及び設計検証は計画通りに進めたが,コロナ感染拡大および世界中の深刻な半導体不足の影響で,半導体工場での生産周期が長くなったことにより,試作ADC回路のLSIチップ製造が遅れた.そのため,試作チップの納品が間に合わず,計画通り年度内に試作LSIチップの測定と性能評価はできなかった.次年度中,試作LSIチップは納品できる見込みで,実験検証を行い,実測結果を含む研究成果をまとめる予定.
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今後の研究の推進方策 |
前述の通り,半導体製造期間が長くなったため,実験検証用LSIチップは次年度の納品となった.今後,試作ADC回路を搭載するLSIチップが納品され次第,設計したADC回路の実測と性能評価を行い,実測データ処理と結果解析を行い,設計時に期待した性能目標との性能比較を行い,研究成果をまとめる予定.
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次年度使用額が生じた理由 |
本研究では,当初計画していた新規回路手法の理論検討,実現手法の提案および実験検証を行うための集積回路設計まで完了したが,コロナ感染拡大および産業界の半導体需要急拡大により,LSIチップの製造期間が長くなり,実験検証用LSIチップの納品と支払いは次年度となった.また,実験用消耗品も実験時に発生するため,研究費の使用は次年度となった.
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