研究課題/領域番号 |
19K04528
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研究機関 | 福井大学 |
研究代表者 |
ASUBAR JOEL 福井大学, 学術研究院工学系部門, 准教授 (10574220)
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研究分担者 |
葛原 正明 関西学院大学, 理工学部, 教授 (20377469)
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研究期間 (年度) |
2019-04-01 – 2022-03-31
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キーワード | 窒化ガリウム / 再成長 / ドライエッチング / ノーマリーオフ / エンハンスメントモード / リセスゲート |
研究実績の概要 |
今年度の主な成果を以下にまとめる。 1. ゲート絶縁膜厚さを調整し、しきい値電圧(VTH)を制御することによって、望ましいVTHを有するGaN系MIS-HEMTノーマルオフデバイスを作製した。as-preparedデバイスのVTHは、ゲート絶縁膜厚さと1次(線形)および2次(放物線)の関係があることが明らかになった。さらに、High-k ZrO2ゲート絶縁膜を用いて、高いゲート制御性と高い相互コンダクタンスを備えたリセスゲートGaN系MIS-HEMTの試作に成功した。またプレーナ型ZrO2/AlGaN/GaN-HEMTで初めて「スピルオーバー」現象が観測された。スピルオーバー現象は、優れた絶縁体/半導体界面が形成された証拠の1つである。 2. ゲート電極堆積後のアニールにより、界面準位密度が低い絶縁体/再成長-AlGaN界面が得られ、従来よりも安定した(ヒステリシスの小さい)伝達特性が得られた。さらに、ゲート堆積後のアニールにより、VTHがより好ましいエンハンスメントモード動作に向かって正方向にシフトした。 3. 再成長AlGaNバリア層の最適化実験から、Al組成が0.2の場合、従来の0.3と比較して、しきい値電圧とドレイン電流のトレードオフを回避しやすいことが明らかとなった。Al組成0.2では、より厚いAlGaNバリア層を有する構造が可能となり、AlGaNバリア層の厚さが増すにつれてドレイン電流の減少率が小さくなることが明らかになった。また、ノーマリーオフショットキーゲートp-GaN/AlGaN/GaN HEMTの実現には、AlGaN層の破壊を防ぐために、Al組成を0.26未満にする必要があることが明らかとなった。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
現在、デバイス作製と最適化は予定通り順調に進展している。ゲート絶縁膜厚さに対するVTH依存性の実験データは理論モデルと適合しており、ゲート絶縁膜/半導体界面の電子状態密度を制御する方法に関する貴重な知見も得られた。さらにHigh-k ZrO2とmist-Al2O3ゲート絶縁膜を有するデバイスの試作にも成功し、特性評価もできた。
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今後の研究の推進方策 |
次年度は以下の研究を予定している。 1. 0.25から0.30ではなくAl組成が0.2の再成長AlGaNバリア層を有するリセスゲートGaN系MIS-HEMTを試作と特性評価 2. ゲート電極堆積後のアニール温度と時間の最適化・ゲート絶縁膜堆積前のオゾンプラズマ処理 3. Mist-Al2O3を有するリセスゲートGaN系MIS-HEMTのリセスAlGaNバリア層厚の最適化 4. ゲート絶縁膜/in-situ-AlGaNとゲート絶縁膜/再成長-AlGaN界面の比較
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次年度使用額が生じた理由 |
新型コロナウィルス感染症(COVID-19)拡大防止と緊急事態宣言の発出により、当初予定していた学会発表の中止により、予定より使用額が少なかった。次年度以降の研究の進展に合わせて効果的に使用することが望ましいと判断し、次年度使用額が生じた。
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