研究課題/領域番号 |
19K04544
|
研究機関 | 国立研究開発法人産業技術総合研究所 |
研究代表者 |
齋 均 国立研究開発法人産業技術総合研究所, エネルギー・環境領域, 主任研究員 (50462825)
|
研究期間 (年度) |
2019-04-01 – 2022-03-31
|
キーワード | 太陽電池 / エナジーハーベスティング / 薄膜シリコン / フォトニック構造 |
研究実績の概要 |
本研究では、エナジーハーベスティングデバイスの抜本的な高効率化を目指し、フォトニック結晶構造の適用により従来技術を凌駕する光吸収増強効果を得ることを目的とする。本研究で対象とするエナジーハーベスティングデバイス太陽電池(EHPV)の材料には最も一般的なアモルファスシリコンを想定する。単色光を含む幾つかの典型的な入射光スペクトルを想定し、それに対して光吸収増強効果を最大化するフォトニック結晶構造を探索する。フォトニック結晶構造には様々なものがあるが、本研究では、薄膜系EHPVに実装することを想定し、面内方向にのみ周期を有する2次元構造に限定して検討を行う。 2年度目となる2020年度は、EHPV向けのフォトニック結晶構造を探索するための光学解析を行った。面内方向に周期性を有する2次元構造を持つフォトニック結晶構造を前提として、これをEHPVデバイスの裏面側に配置し、光吸収効果を最大化する構造を探索した。今年度は特に形状効果について検討したところ、凹凸構造が階段状であるよりも円錐状のような傾きを持つ構造において光吸収増強が高まることが確認された。フォトニック結晶構造を発電層の成長基板として用いる場合にも、傾きを持つ構造であるほうがより均一な膜成長が期待できる。よってこうした構造を基本としてさらに検討を進める。また本年度は、デバイス実証用のEHPV向けのアモルファスシリコン太陽電池の開発を行い、参照基板を用いた場合において、基準太陽光下評価で発電効率9%を確認した。今後、これらの技術を統合していく。
|
現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
2年度目となる2020年度は、EHPV向けのフォトニック結晶構造を探索するための光学解析をさらに進展させることと、EHPVデバイス実証向けの太陽電池試作と性能検証を行った。いずれも概ね予定通りに進捗している。前者については、面内方向に周期性を有する2次元構造を持つフォトニック結晶構造を前提として、これをEHPVデバイスの裏面側に配置し、光吸収効果を最大化する構造を探索した。今年度は特に形状効果について検討したところ、凹凸構造が階段状であるよりも円錐状のような傾きを持つ構造において光吸収増強が高まることが確認された。フォトニック結晶構造を発電層の成長基板として用いる場合にも、傾きを持つ構造であるほうがより均一な膜成長が期待できる。よってこうした構造を基本としてさらに検討を進める。また後者については、デバイス実証用のEHPV向けのアモルファスシリコン太陽電池の開発を行い、参照基板を用いた場合において、基準太陽光下評価で発電効率9%を確認した。今後、これらの技術を統合していく。また、EHPVデバイスが様々な入射光下で動作することを踏まえ、それらの評価のために可視域において入射スペクトルを変調できるLED光源を整備した。
|
今後の研究の推進方策 |
最終年度となる2021年度には、光学解析の結果から期待される性能向上を定量かする。さらに、解析結果とEHPVデバイス試作の結果を統合し、本研究課題の主眼である「フォトニック結晶構造の適用により従来技術を凌駕する光吸収増強効果を得ること」を目指す。
|
次年度使用額が生じた理由 |
学会出張等を想定していたが新型コロナウイルスの影響で実施できなかったため残額が発生した。最終年度に必要となる物品や学会発表等に活用する。
|