建設後約50年が経過したRCボックスカルバートに対してけい酸塩系表面含浸材を塗布し,雨掛かりが含浸深さに与える影響を調査した.雨が掛かる水平面では,表面含浸材はコンクリート内部に浸透でき,より深い位置までコンクリートを改質できている可能性があったが,雨が掛かる垂直面では,副生したアルカリ塩が下側に溶出してしまっている可能性があることが分かった. その結果を踏まえ,けい酸塩系表面含浸材に少量のシラン系撥水材を混合することによって,けい酸塩が十分に反応するまでの数か月間,水の作用による未反応けい酸塩の流出を抑制することを考え,そのコンクリート改質効果を検証した.さらにセルロースナノファイバー(CNF)や珪藻土を添加し,けい酸塩系表面含浸材を塗布したコンクリートの耐久性向上に関する検討を行った.その結果,けい酸塩系表面含浸材に撥水材を3~10%添加することで,水の浸透への抵抗性や塩化物イオン浸透抵抗性が向上した.一方,気体の浸透に対する抵抗性は変化せず,中性化深さに変化は見られなかった.撥水材の添加によってスケーリングに対する抵抗性については低下したが,CNFを併用することで,スケーリング抵抗性は向上させることができた.ひび割れ幅が0.2mmを超えると,一度のけい酸塩の塗布ではひび割れを閉塞させてひび割れ内の透水を止めることは難しかったが,CNFや珪藻土を併用したけい酸塩をひび割れ近傍に繰返し塗布することで,透水量を大幅に低下させることができた.
|