研究課題/領域番号 |
19K04550
|
研究機関 | 岐阜大学 |
研究代表者 |
小林 孝一 岐阜大学, 工学部, 教授 (20283624)
|
研究期間 (年度) |
2019-04-01 – 2022-03-31
|
キーワード | けい酸塩系表面含浸材 / 撥水性付与 / 透水量抑制 / 塩化物イオン浸透深さ抑制 |
研究実績の概要 |
けい酸塩系表面含浸材は施工後1ヶ月程度の養生を経てコンクリート表面を改質するが,この期間中に降雨に曝されると硬化前に流出してしまう可能性がある.そこで施工後のごく初期の養生の改善を目指し,撥水作用を付与したけい酸塩を開発し,その効果を検証した.けい酸塩は,これまでの検討でも用いたけい酸Na,けい酸K,けい酸Liの3種混合液の基本型(SiO2=16%)と,基本型にシリコーン水溶液を微量(3%)添加し撥水作用を付与した撥水型の2種類を用いた.さらに,これまでの検討と同様にけい酸塩の反応促進を目的として亜硝酸カルシウム水溶液(以下,Ca補助剤)も併用した.その結果,以下の成果が得られた (1) けい酸塩に撥水効果を付与することで,遮水,遮塩性が向上した.Ca補助剤を併用することで,その効果は更に向上した. (2) 撥水型けい酸塩の撥水効果は2~3ヶ月間持続した.けい酸塩による改質層が形成されるまでの間,撥水作用により表層を保護する. (3) 撥水型けい酸塩の方が,4ヶ月半経過後に表層部にアルカリ金属イオンが多く残っている傾向がみられた. 以上から,撥水型けい酸塩とCa補助剤を併用する工法は,従来のものと比較して,高い性能を発揮できるものと考えられる.
|
現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
けい酸塩系表面含浸材に対して,補助的に撥水剤を混和することにより,両者の特徴を生かした優れた表面含浸材とすることができ,その性能を実証することができた.今年度開発した表面含浸材は,商品として販売が開始された.
|
今後の研究の推進方策 |
施工者からニーズを調査したところ,これまでけい酸塩が主に対象としてきたひび割れよりも大きめの幅0.5mm程度以上のひび割れへの適用性が求められていることが明らかとなった.今年度は,カーボンナノファイバーを混和したけい酸塩系表面含浸材のひび割れ充填,閉塞効果を検証することとした.実施するのはひび割れ透水性試験と表面スケーリング(緩速凍結融解)試験である.
|