本研究の目的は,重錘を落下させたわみを測定する手法であるFWD(Falling Weight Deflectometer)を用いた道路橋コンクリート床版の健全度評価の高精度化に向けた橋面舗装の平均温度予測に関する実験的検討を行い,既往研究にて提案したたわみ補正方法の検証を行うことである.2019年度および2020年度に実施した床版上アスファルト舗装の平均温度測定結果をもとに提案した推定手法では,既往の推定式に比べて平均温度の推定精度が大きく向上することを確認し,高精度化を図ることができた.最終年度である2021年度にはその推定式を併せもったたわみ補正方法の精度検証を行った. 2021年度は,厚さの異なるアスファルト舗装(目標厚:40mmおよび80mm)を舗設した実橋のコンクリート床版を模擬した試験体2体について,アスファルト舗装舗設前後においてFWD試験を実施した.アスファルト舗装舗設後に測定したたわみに対して,提案してきたたわみ補正(アスファルト舗装の温度による影響,床版支間長の影響)を施した結果,アスファルト舗装舗設前の床版たわみを10%程度の差異で評価することができた.また,舗装厚の違いによる補正値の差異は非常に小さかった.以上の研究成果から,申請者が提案してきたFWDを用いた道路橋床版の健全度評価におけるたわみ測定の精度向上とたわみ補正方法の妥当性を確認することができた. 今後の研究として,温度によって材料特性が変化するアスファルト舗装の影響をさらに検討する必要があるといえる.
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