けい酸塩系表面含浸材によるモルタルの改質効果を定量評価するため、モルタルにけい酸塩系表面含浸材を施工し、ビッカース硬さ試験を実施した。また、Cl-に絞り、劣化因子侵入阻止性との関連性について評価を実施した。 試験要因は、モルタルのW/C、けい酸塩系表面含浸材の使用量、けい酸塩系表面含浸材の主成分、けい酸塩系表面含浸材のモル比、そしてモルタルの表面含水率とした。ビッカース硬さ試験では、ビッカース硬さの増加量、そしてビッカース硬さ増加域(改質深さ)を評価項目とした。また塩水浸漬試験では、硝酸銀噴霧法により呈色深さを測定した。そして、これらの相関について検討を行った。 各要因がけい酸塩系表面含浸材を施工することによるビッカース硬さ増加量、そして改質深さに与える影響について整理を行った。その結果、表面含水率の増加は、ビッカース硬さ増加量、改質深さともに影響を与えた。モルタルのW/Cはビッカース硬さの増加に影響を与えた。また,表面含浸材使用量と表面含浸材の主成分は改質深さに影響を与えた。 またCl-呈色深さは、けい酸塩系表面含浸工を施工することによりブランク供試体と比較し低くなる傾向を示した。また、ビッカース硬さ試験の増加割合と、Cl-呈色深さの低下割合についてグラフに示すと、高い相関関係を示す結果となった。 そのためこれら一連の検討より、ビッカース硬さ試験により得られたビッカース硬さ増加量を使用することにより、けい酸塩系表面含浸工による改質効果を示す指標となり得る可能性について示すことができた。ただし、実務的に必要となるのは、Cl-濃度分布との関連性であるが今回の試験結果ではまだ整理ができない状況であった。そのため、ビッカース硬さ分布をCl-濃度分布の関係については、今後引き続き検討を行っていく予定である。
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