研究課題/領域番号 |
19K04569
|
研究機関 | 秋田大学 |
研究代表者 |
高橋 良輔 秋田大学, 理工学研究科, 准教授 (10371783)
|
研究期間 (年度) |
2019-04-01 – 2022-03-31
|
キーワード | 継手部 / FEM / ダウエル作用 / 床版 / 押抜きせん断 |
研究実績の概要 |
当初の計画では,部材実験とその検証を2年目に実施する予定であったが,1年目において,接合面直交方向の影響を考慮した接合面構成則を導入した有限要素解析プログラムの作成と水平方向に接合面を有する版部材を想定した載荷実験を行い,当初計画の2年目で実施する内容も一部実施したため,当初計画では設定してなかった部材軸直交方向に接合面を有する床版部材の解析を実施した.また,1年目の要素実験がうまくいかなかったことにより,ひび割れ後の挙動に対する妥当性の検証が不十分であるが,コロナ感染拡大により実験の実施ができなかったため,今年度の実験は断念し,洗出し処理面(ひび割れ面)の影響に対しては十分な妥当性が評価できない状況のまま,解析を行うこととした. 対象とする実験は,既往の,継手部を有するプレキャスト床版部材の押抜きせん断実験とした.この供試体は,継手部とプレキャスト部の間に接合面があり,鉄筋で結合され,接合面は洗出し処理による打継ぎがなされている. 実験においては,わずかではあるが,プレキャスト部と継手部の接合面におけるずれ,たわみの局所化が観測されたものの,解析では接合面が完全に一体化されたケースと接合面を有するケースが一致し,接合面の挙動評価に対する解析モデルの妥当性の検証には至らなかった.原因としては,接合面のコンクリートのせん断抵抗を0としても実験の接合面挙動を再現できなかったため,プレストレスの導入時期と載荷時の境界条件を解析で適切に再現できなかったことが考えられる.
|
現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
接合面を洗出し処理して接合した場合に想定される,接合面がひび割れ面となった場合のひび割れ面の影響に対する構成則の検証が実施できておらず,その妥当性が確認されていない.1年目の要素実験が期待通りに実施できず,2年目で実施する予定であったが,2年目は新型コロナ感染拡大防止のため,一部供試体の型枠作成準備人は取りかかったものの,実験を実施することができなかった.既往の部材実験の解析によって検証を試みたが,プレストレスの影響など,接合面の構成則とは異なる理由で実験を評価できておらず,こちらでも接合面がひび割れ面となった場合のひび割れ面の影響に対する構成則の妥当性確認には至っていない. また,洗出し処理によるコンクリート打継ぎ面が想定以上に一体化しており,接合面においてひび割れが発生しにくいことが当初の想定とは大幅に異なっており,実験供試体の設定,製作,実験の実施を困難にしている.
|
今後の研究の推進方策 |
2年目において実験が実施できなかったため,1年目で期待通りに実施できなかった実験を今年度実施し,接合面がひび割れ面となった場合のひび割れ面の影響に対する構成則の検証を行うこととする.当初3年目では,検証された構成則による解析的検討を予定していたが,現段階での構成則による検討とする.また,昨年度から今年度にかけて,研究代表者が研究機関を異動したため,例えば,供試体作成の設備や載荷設備の違いなどによって,実験の実施にエフォートが多くかかることも想定される.そのため,解析については当初計画に対して,規模を縮小して実施することを考えている.
|
次年度使用額が生じた理由 |
新型コロナウイルス感染拡大予防措置により,当初計画していた実験のほとんどを実施することができず,実験については一部供試体の型枠の製作準備等で今年度を終了することとなり,当初予定していた研究費の使用には至らなかった.また県外移動も制限されたため,研究資料収集や打合せのための旅費もほとんど使用しなかった. 次年度は,感染防止策を十分に行なっていれば,実験の実施が可能であることから,昨年実施を予定していた実験を実施する予定であり,今年度の残額は次年度の実験に当てる予定である.
|