本研究では,GFRP(ガラス繊維強化プラスチック)を対象に,簡易に部材強度を評価する手法を開発するために,昨年度は一方向に繊維が入っている一方向材および二方向に繊維が入っている二方向材を使用し,C形部材の各部位(隅角部やそれ以外の部位)から採取したクーポン試験片,および同じC形部材から3つの板要素試験片を切り出し,引張試験を実施した.GFRP材料の強度のばらつきを考慮し,クーポン試験および板要素試験ともに5体ずつの試験片を用意し,試験を行った.また,FE解析を実施し,繊維が不均一になったGFRP部材のモデル化の検討を行った. クーポン試験片の引張試験では,各部位の引張強度及び引張弾性係数を計測することができ,また板要素試験片の引張試験とクーポン試験片の結果を比較することで,部材強度の予測の可能性を検討した.その結果,クーポン試験片の最小引張強度と板要素試験の引張強度がほぼ一致したことから,実際の部材強度を評価するためには,平均値ではなく最小値を用いることが重要であることが示唆される.また,クーポンの切り出し位置が多くなる場合は,板要素試験を実施することで代用できる可能性も見出した.さらに,FE解析に関しては,部材内の各部位ごとの材料強度を入力することで部材強度の評価の精度が向上する可能性が示された. 今年度は,部材そのもの引張試験を実施することや,同じGFRP部材の圧縮特性を検討するために,試験片や載荷治具は圧縮用のものを用意し,圧縮試験を実施する予定である.また,FE解析に関しては,引き続き引張・圧縮特性の両方に着目したモデル化の検討を行う予定である.
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