研究課題/領域番号 |
19K04583
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研究機関 | 東海大学 |
研究代表者 |
三神 厚 東海大学, 工学部, 教授 (10262122)
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研究期間 (年度) |
2019-04-01 – 2022-03-31
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キーワード | 損傷検知 / 機械学習 / 時系列データ |
研究実績の概要 |
令和元年度の研究では,センサーデータにオートエンコーダを適用し,構造物モデルの損傷の有無について検知する方法を構築するとともに,適用の限界について検討した.構築した手法の実用化にあたっては,損傷検知システムをブラックボックスとして扱うのではなく,損傷検知に成功/失敗する理由を明確に説明することが課題として浮上してきた.そこで,令和二年度は,まずXAI(eXplainable AI)についての研究動向の調査を開始した.その結果,AIを説明する方法は様々あるものの,決定的な方法はないことがわかった.本研究では,オートエンコーダを構成するニューラルネットワークの重みデータを取り出し,損傷検知の成否との関係を考察することを試みたが未だ重みの解釈が不十分であり,損傷検知の成否の説明には至っておらず,今後の課題として残された.令和二年度の当初の予定として,様々な機械学習手法について検討することを課題として挙げていた.そこで,センサーデータに適用できそうな手法として,ニューラルネットワークに記憶の機能を持たせ時系列データの適用を可能にしたRecurrent Neural Networkを卒業研究と絡めながら検討した.時系列データのパターン分類の手法として,申請当初はサポートベクターマシンに着目していたが,近年,LSTM(Long Short-Term Memory)なる手法が着目されていることを知るに至り,その導入へ向けて学習や検討を進めている.サンプルプログラムのレベルでの運用は実施したものの,ノイズが混入するような実データにLSTMを適用しようとすると思ったような結果が得られず,さらなる検討が必要となった.以上のように,初年度を終えて浮上した課題や当初予定としていた内容には取り組んでいるものの,論文レベルに到達しておらず,発表に至っていない.次年度への課題として持ち越された.
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
4: 遅れている
理由
初年度は当初の予定通り順調に研究をスタートすることができたが,2年目は遅れることとなった.新型コロナ感染症の流行の影響を受け,すべての担当授業について遠隔対応が必要となったことから,令和二年度は教育に関するエフォートが当初の想定より大幅に増えることとなった.これにより,研究に対するエフォートが大幅に減少することとなり,令和二年度にすべきことが十分実施できていない.これに伴い,令和二年度に予定していた国内,国外発表とも見送ることにした.旅費等を使用せず,予算が余ったため,次年度に持ち越した.
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今後の研究の推進方策 |
研究期間を1年延長し,3年から4年に変更することを模索し学内の研究支援課とも相談しているが,まずは遅れを取り戻す努力をしたい.遠隔授業準備は昨年1年で完了したため,令和三年度は通常の年のエフォート構成に近づけ,研究に対するエフォートが大幅に減少することは避けたい.具体的な今後の研究の推進方策としては,令和二年度に進める予定であった様々な機械学習の手法の比較検討を重要なものに絞って進め,令和3年度の前半までに完了させる.追加検討課題となっていたXAIに関する内容についても令和三年度の前半を目途に完了させる.機械学習の分野は日進月歩であるので,常に,当該分野の研究動向を気にしながら適宜,微修正を加えつつ,研究を推進する必要がある.一方で,多質点系モデルの振動実験の準備を併行して進め,令和三年度の後半で実験を実施できるよう努力する.得られた成果は,国内学会を中心に,オンライン発表も視野に入れながら,順次発表していく.
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次年度使用額が生じた理由 |
令和2年度は,新型コロナ感染症の流行の影響を受け,研究の進捗に遅れが生じ,十分な成果が得られなかったため,学会発表を見送った.そのため,旅費等を使用する必要がなくなり,次年度使用額が生ずることとなった.
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