研究課題/領域番号 |
19K04586
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研究機関 | 函館工業高等専門学校 |
研究代表者 |
渡辺 力 函館工業高等専門学校, 社会基盤工学科, 教授 (90249714)
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研究期間 (年度) |
2019-04-01 – 2022-03-31
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キーワード | 改良ZIG-ZAG 理論 / 異方性積層板 / 等方性平板 / 異方性積層板 / 固有振動モード |
研究実績の概要 |
近年,繊維強化プラスチック(FRP)などの複合材料が建設材料として盛んに用いられるようになった.FRPは,繊維で補強した方向に対して直角方向の強度を補うために強化方向の異なるラミナを何枚か重ねた積層板として使用されることから,異方性積層板として取り扱われる.この異方性積層板では,板厚比が大きくなるとZIG-ZAG 変位が顕著に現れ,従来の等価単層理論では高次の厚板理論を用いても精度が悪くなる. ZIG-ZAG 変位の影響を効果的に変位場に組み入れるためにZIG-ZAG 理論の研究が盛んに行われており,主にMurakami 理論(MZT)やRefined ZIG-ZAG 理論(RZT)が用いらている.しかしながら,MZT では層間でZIGZAG関数の勾配が異符号となるように強制しているので積層順序によっては精度が悪くなる.また,RZTのZIG-ZAG 関数は,等方性平板には適用できないことに加え,面外変位wに対する関数が開発されていない. 本研究では,RZT のZIG-ZAG関数を等方性平板にも適用できるように改良するとともに,厚板解析に有効な面外変位w に対するZIG-ZAG 関数を開発している.この改良ZIG-ZAG理論では,MZT のように積層順序によって精度が悪化することが無く,異方性積層板のみならず等方性平板の厚板解析においても精度の良い変位と応力が計算できる.これにより,既設構造物をFRP で補強する接着工法における構造解析にも適用が可能となる.本年度は,改良ZIG-ZAG理論を異方性積層板ならびに等方性平板の自由振動解析に用いて,精度と適用性 を検証し,研究成果を土木学会構造工学論文集に投稿した.
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
当初計画通りに,改良zig-zag 理論の改良と自由振動解析での精度検証を実施した.本年度の研究により,以下の知見が得られた・ (1) 改良ZIG-ZAG理論では,どの積層状態においても面外振動モードIBで高精度の解が得られる.一方,IIB, IIIBモードでは,高次波形になると板厚方向に局部モードが生じて,三次せん断変形理論の変位場を用いても誤差が大きくなる. (2) 外側弱層の修正の効果は,面外振動モードIB やせん断モードIIB で現れ,一次せん断変形理論の変位場を用いる場合に大きい. (3) 等方性平板への適用では,層数を仮想ラミナ数と考えて仮想ラミナ数を増加させることで,極厚板に対しても精度の良い固有振動数を求めることができる.
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今後の研究の推進方策 |
本年度までの研究により,改良ZIG-ZAG 理論では,異方性積層板のみならず等方性平板の厚板解析においても精度の良い変位と応力,固有振動数 が得られること,仮想ラミナを用いる方法により極厚板に対しても高精度な解が得られることを明らかにした. 今後は,改良ZIG-ZAG 理論を,複合材料で補強された鋼やコンクリート構造,剥離解析に適用するために,改良ZIG-ZAG 理論とLayer-wise理論を融合したRegion-wise ZIG-ZAG理論の開発を行う.この理論では,異方性積層構造や,複合材料と等方性材料からなるサンドイッチ構造を板厚方向に幾つかの領域に分け,その領域境界と領域内部に自由度を持たせる.領域内部のZIG-ZAG 変位を効率的に表すために,高次の改良ZIG-ZAG理論を用いる.研究の推進方法は以下の通りである. 領域境界における変位の連続性を満足させるために,領域内のZIG-ZAG変位の分布を仮定するZIG-ZAG関数には改良ZIG-ZAG関数を拡張した領域ZIG-ZAG関数を,高次項の補間関数にはハイアラーキ多項式を用いる.これにより,領域境界において変位の連続性を満足し,剥離解析に必要な剥離変位の導入や複合材料と等方性材料からなる構造への適用も容易となる.さらに,領域内部に改良ZIG-ZAG理論を用いるので,未知自由度数はLayer-wise理論に比べかなり少なくなる.また,ZIG-ZAG理論やLayer-wise理論と同様に,この理論においても,面外応力は,領域境界や領域内部の層境界での連続性と,板の上下縁での境界条件を満足しないので,三次元弾性理論の応力の平衡方程式を用いて面外応力の改良を図る.
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次年度使用額が生じた理由 |
新型コロナウイルスへの影響で,予定していた学会発表(構造工学シンポジューム)が中止となった.さらに,納入の目途がたたないことから,物品の購入を見送った.
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