2021年度は,2020年度に続き,膨潤性地盤がトンネルの長期安定性に及ぼす影響,トンネル~土境界における内部侵食の発生状況,地山の劣化がトンネルの地震時挙動に及ぼす影響の3つの課題について取り組んできた. ①膨潤性地盤がトンネルの長期安定性に及ぼす影響については,膨潤性材料に対する膨潤率試験,一軸圧縮試験,浸水模型実験を実施し,トンネル周辺地盤の膨潤性地盤の膨潤に伴う覆工や周辺地盤の力学挙動の変化について検討を実施した.その結果,膨潤性地山の膨潤に伴い,覆工に作用する応力が大幅に増加し,覆工に作用する応力分布も大きく変化することが分かった.さらに,これらの変化は膨潤性地盤の膨潤特性,および位置,周辺地山の力学特性に大きく影響されることが分かった.特に膨潤性地山がトンネルから離れた箇所においては,膨潤地山の中でトンネルを掘削した場合より大きい荷重が発生する可能性があることが分かった. ②トンネル~土境界における内部侵食の発生について,引き続き,境界地盤における流速や内部侵食の発生状況等について検討した.また透明土を用いた微視的観察を実施し,土~構造物境界で水の流れや内部侵食が卓越するメカニズムについても詳細検討を実施した.その結果,トンネル~土境界では流速が早く,内部侵食が発生しやすい環境にあり,その主な理由は間隙のほか,流路が短いとの知見を得た. ③地山の劣化がトンネルの地震時挙動については,地山の部分的な強度低下がトンネルの地震時挙動に及ぼす影響について二次元アルミ振動台実験を実施した.実験結果により,局所的な地盤強度の低下により,地盤およびトンネル覆工の力学挙動が大きく変化する結果が見られた.さらに,トンネル覆工がひび割れなど劣化が発生した場合と比較し,地山の劣化に起因するトンネルの地震時応答と覆工材料の劣化に起因する地震時応答の違いについて系統的に調べた..
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