研究実績の概要 |
再生可能エネルギーの一つである地中熱は、地下約200メートル以浅の地盤中の地盤が持つ熱エネルギーのことで、熱源は地表面から伝わる太陽エネルギーと地下深部から伝わる地殻エネルギーである。地中熱の利用により、どこにでもある地下浅層部の熱を取り出してビルや戸建て住宅の冷暖房に利用することにより、省エネルギーに大きく貢献できる可能性がある。ヒートポンプを用いた地中熱利用は欧米で普及が進んでおり、設備容量で比較するとアメリカは12,000 MWt、ドイツは2,230 MWt、スイスは1,017 MWt(いずれも2010年時点)、日本は85 MWt(2013年時点)となっており、日本でもさらなる普及の余地は大きい。 本研究では、杭基礎を利用した地中熱利用ヒートポンプシステム(エネルギーパイル)に着目し、杭基礎-地盤系の熱力学挙動について数値解析による検討を行う。初年度である本年度は、最新の研究動向について整理した。また、地盤と構造物、流体中の熱移動、流体の移動、土骨格の変形の連成挙動を取り扱うための不飽和熱-流体-力学連成解析手法の開発に取り組んだ。
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