研究課題
近年の異常気象によって表層崩壊による被害が多発し,その対策が急務となっている。一方,現行の警戒基準は自治体,インフラ事業者ともに雨の情報のみを基に設定しているため,予め個々の斜面の危険性を判定できるわけではない。つまり現行基準は事後保全を前提とした基準であり,崩壊の危険性を未然に診断し,予め対策を行う予防保全の考え方(Society5.0)ではない。その理由は,現時点で表層崩壊の危険性を未然に診断できる手法が確立されていないこととが主な要因であると考えられる。そこで申請者らは考案中の土中水分で斜面の健全度を診断する指標(IQS)により,一定期間のモニタリングから斜面の健全性を評価し,監視を継続すべきか,そうでないかの判定が行える観測手法を開発することとした。最終年度である今年度の成果は次の通りである。一部の観測データから確認された,降雨強度が変化してもIQSに変化が無い現象について,当現場の試料他、複数の土試料を用いて再現実験を行った。その結果、当実験により再現性が確認され、その要因は間隙空気圧によるものであることが確認された。昨年度、表層崩壊の主要因が浅層での地下水位の上昇にある点に着目し,深度方向の体積含水率の変化から、斜面の健全性を評価する手法を考案した。今年度この手法を現場斜面に適用したところ、解析結果と同様の結果が確認されたことから,本手法の有効性が示された。また、昨年度棒状の水分センサにかわる,安価で入手が簡単な単管・鋼棒をプローブとした水分センサを開発した。今年度はこのセンサを用いて実大スケールの土槽や現地斜面にて実証実験を行い、実用化への可能性と基本的な特性を把握することができた。
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土木学会論文集C(地圏工学)
巻: Vol.77, No.2 ページ: pp.129-139
10.2208/jscejge.77.2_129
Kansai Geo-Symposium2021論文集
巻: 2021 ページ: pp.115-119
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