研究課題/領域番号 |
19K04602
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研究機関 | 鹿児島大学 |
研究代表者 |
酒匂 一成 鹿児島大学, 理工学域工学系, 教授 (20388143)
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研究分担者 |
伊藤 真一 鹿児島大学, 理工学域工学系, 助教 (20825690)
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研究期間 (年度) |
2019-04-01 – 2022-03-31
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キーワード | 不飽和土 / 水分特性曲線 / 透水係数 / 蒸発効率 |
研究実績の概要 |
本研究課題では,1)不飽和土の水分特性曲線・不飽和透水係数・蒸発効率を同一供試体から得ることのできる室内土質試験法の提案と2)含水比,土の湿潤密度,粒径加積曲線から不飽和土の水分特性曲線・不飽和透水係数・蒸発効率を推定するための数値力学モデルの改良とその妥当性評価に取り組むことを目的としている。降雨時および降雨後の斜面の安定性の定量的評価には,不飽和浸透解析と斜面安定解析を組み合わせた数値解析が用いられる。不飽和浸透特性には,不飽和土の水分特性曲線および飽和・不飽和透水係数が必要であり,また,境界条件として雨量や蒸発量が用いられるが,バルク法による蒸発量推定には,不飽和土の蒸発効率が必要となる。よって,本研究課題の成果により,降雨時に発せられた警報の解除に役立つ情報を提供できる可能性が考えられる。 今年度は,蒸発法による水分特性曲線・不飽和透水係数測定装置(HYPROP)を用いた体積含水率~蒸発効率の関係を求めるための室内試験法による試験を実施し,試験結果に表れる課題を抽出し,課題解決のための試験法改善を試みた。 また,土の基本的な物理量(間隙比,含水比,粒度分布,土粒子の密度)から体積含水率~蒸発効率の関係を推定することのできる確率・統計を援用した数値力学モデルの改良を行うとともに,妥当性の検証を行った。 次年度は,今年度得られた知見を基に試験方法を改善し,複数の種類の土で試験を行い,改善効果の検討を行う。また,提案した数値力学モデルの妥当性の検証を行い,必要に応じてモデルの改良を実施する。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
今年度は,本研究課題で提案する体積含水率~蒸発効率の関係を求めるための室内試験法によるデータ取得およびその妥当性の検証を実施することと数値力学モデルの改良を計画していた。まず,蒸発法による水分特性曲線・不飽和透水係数測定装置(HYPROP)を用いて,試験および検討を実施し,提案試験法から得られた測定結果を従来の試験方法で得られた測定結果と比較検討した結果,測定装置の形状が原因で計測結果が従来のものと異なるなどの課題抽出をすることができた。また,課題解決のための試験装置の改善点について検討し,その効果についての検証試験を行うことができた。 また,土の基本的な物理量(間隙比,含水比,粒度分布,土粒子の密度)から体積含水率~蒸発効率の関係を推定することのできる確率・統計を援用した数値力学モデルの改良を行い,より試験結果に近い値を示すモデルを提案することができた。 以上のことから,概ね順調に進展していると判断できる。
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今後の研究の推進方策 |
今年度実施した蒸発法による水分特性曲線・不飽和透水係数測定装置(HYPROP)を用いた試験の課題について,さらに検証し,装置の改良を加える。主に,供試体が入っている土槽の構造や断熱性などの改善が必要であると思われるため,それらを改善するための加工を行う予定である。また,改良後の試験装置を用いて,改良効果を検証し,より精度の高い試験方法の提案を試みる。試験結果の分析精度を上げるため,恒温室において実験を行う予定である。また,改良した数値力学モデルの妥当性を試験データを用いて検証し,その改良効果について考察する。また,土の種類や間隙比などの影響を考慮することが可能かどうかを試験結果に基づき検証する。
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