研究課題
各種岩石に対してスクラッチテストを実施した.それぞれの岩石の結果は次のとおりである.幌延泥岩に関しては,強度が低いということから垂直荷重を50Nとして測定した.水平荷重の変化は5種類の岩石のうち稲田花崗岩の変化が他の堆積岩類と異なり,長い周期と短い周期が混在していることがわかる.堆積岩類での水平荷重は中程度の周期の変化を繰り返していることがわかるが稲田花崗岩ほどの鋭いピークは見られない.振幅の小さな周期の短い振動が見られる岩石は延性的な挙動を示す岩石であり,振幅の大きな変化を周期的に繰り返す振動が見られる岩石は脆性な挙動を示す岩石であると考えられる.本研究の結果からみると稲田花崗岩では脆性的な特徴を示す振動が確認され,凝灰質砂岩と来待砂岩でも一部,脆性的な挙動が確認された.脆性的な挙動で特徴である鋭いピークは,岩石を構成する鉱物粒子を掘り込む際に鉱物粒子の結合度が高い場合,圧子の抵抗に大きな水平荷重を必要とするため限界値まで値が大きくなるが,掘り込まれた直後に急激に水平荷重を低下させるために生じる.堆積岩類の一部で見られた脆性的な挙動は,大きな粒子に当たったためであると考えられる.また,スクラッチテストの結果は硬度と関係があると考えられるため,泥岩の反発硬度を測定し比較をおこなったところ,弱い相関が見られた.また,測定で利用した粉末でXRD分析を行い,泥岩中に含まれる粘土鉱物の測定を行い,反発硬度と粘土鉱物の結晶化に関係があることを明らかにした.このことは,スクラッチテストで試料表面を削る際にでる粉末試料を活用することで,粘土鉱物の結晶化度も連続的に評価できることができることを示している.また,高圧用機を利用し岩石の初期物性である間隙率・透水係数の測定を行い,スクラッチテストで連続的に得られた物性で弱面となり得そうな箇所を間隙率・透水係数を用いて評価する手法の開発をした.
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応用地質
巻: 63 ページ: ー
Proceedings of the 5th International Workshop on Rock Mechanics and ISRM2021 Specialized Conference Engineering Geology in Volcanic Fields (RMEGV2021)
巻: 5 ページ: ー