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2019 年度 実施状況報告書

石炭灰混合土をベースにした高機能地盤材料の開発

研究課題

研究課題/領域番号 19K04608
研究機関石川工業高等専門学校

研究代表者

重松 宏明  石川工業高等専門学校, 環境都市工学科, 教授 (90353268)

研究期間 (年度) 2019-04-01 – 2022-03-31
キーワード石炭灰 / 現地発生土 / 強度 / 遮水性
研究実績の概要

東日本太平洋沖地震(2011.3.11)によってもたらされた原子力発電所の大事故を契機に,それまで良好だった石炭灰(フライアッシュ)のリサイクル事情は一変した.我が国は震災後,電力の大半を火力発電に依存していることから,石炭灰の排出が増大の一途をたどっており,しかもこの傾向は,再生可能エネルギーの普及まで数十年以上続くと見られている.こうした中,石炭灰の利用率が最も高いとされるセメント業界においては,公共事業費の縮小に伴ってセメント生産量の減少を余儀なくされている.今後,セメント業界で賄えない石炭灰の多くは,最終的には地盤上もしくは地盤中に処理せざるを得ない状況になることが予想される.これは地盤工学上,極めて重要な問題と言える.
そこで申請者は、今後も大量発生が見込まれる石炭灰を有効利用して現地発生土の最適化を図り,これに固化材や止水材を加えて,より強固もしくは高遮水性といった高い機能性を有する新しい地盤材料(高機能地盤材料)の開発を目指すことにした.そのために先ず,異なる混合率で石炭灰を混ぜ合わせた土試料(石炭灰混合土)に対して各種物理試験を行い,石炭灰混合によって現地発生土の物理的性質(粒度分布,コンシステンシー限界,締固め特性)がどのように変化するのかを調べた.その後,石炭灰混合土に所定量の石灰系固化材を混ぜ合わせて作製した供試体に対して一軸圧縮試験を実施し,強度発現特性を検証した.当該年度で得られた知見を以下にまとめる.
(1)石炭灰は非塑性(NP)であることから,現地発生土に混ぜ合わせると,液性限界と塑性指数は大きく低下する.
(2)石炭灰を混ぜ合わせることによって現地発生土の粒度分布が改善され,より締固まりやすい材料の性質へと変化する.
(3)砂質土を処理対象土とした場合の一軸圧縮試験の結果から,石炭灰の増加に伴う強度発現効果はある程度認められる.

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

2: おおむね順調に進展している

理由

当該年度において各種物理試験(粒度試験,土粒子の密度試験,締固め試験,液性限界・塑性限界試験)はすべて終了し,一軸圧縮試験を実施している段階である.一軸圧縮試験において一部想定していなかった結果が出たため,試験条件等を変えて再度実験を試みる。これらの成果は学会(土木学会全国大会,地盤工学会全国大会,地盤改良シンポジウムなど)で発表する予定である。

今後の研究の推進方策

当該年度においては,石炭灰混合土をベースにした固化処理土の強度発現特性の把握に重きを置いた.次年度からは石炭灰混合土に止水材(ベントナイト)を混ぜ合わせ,遮水効果についても実験的に検証していく.

次年度使用額が生じた理由

(理由)次年度において,一軸圧縮試験の試験条件を増やした追加実験が生じたためである.

(使用計画)次年度使用額(259,672円)については,追加実験を実施するための消耗品等に使用する予定である.翌年度分として請求した助成金については,石炭灰混合土の変水位透水試験を実施するために使用する。

  • 研究成果

    (1件)

すべて 2019

すべて 雑誌論文 (1件) (うち査読あり 1件)

  • [雑誌論文] 石炭灰混合土の土質特性に関する実験的研究2019

    • 著者名/発表者名
      重松宏明,加島幸二,重本基成,進藤浩,村尾哲男
    • 雑誌名

      第13回環境地盤工学シンポジウム発表論文集

      巻: 1 ページ: 155-158

    • 査読あり

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公開日: 2021-01-27  

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