わが国では大きな地震が発生するたびに埋立地などの緩い砂質地盤において液状化現象が発生し、大きな被害が発生している。液状化対策として様々な工法が提案されてきているが、本研究では、通常のセメント粒子よりも小さい微粒子セメントを用いて砂質地盤の液状化対策として地盤内への注入特性について検討を行ってきた。これまでに、室内模型実験を通して、通常のポルトランドセメントを用いたグラウト材よりも微粒子セメントおよび超微粒子セメントを用いたグラウト材の方が高い浸透性を示すことを明らかにした。 2022年度は微粒子セメントによる地盤改良工法の検討に加えて、通常のセメントグラウトよりも流動性の高い低粘性グラウトを用いた地盤改良について検討を行った。砂質地盤に見立てた模型土槽にポルトランドセメントグラウトならびに低粘性グラウトを圧入ポンプを用いて地盤内に注入する実験を行った。その結果、通常のポルトランドセメントよりも低粘性グラウトの方が浸透性が高いことが明らかになったが、ポルトランドセメントと同じく、長時間注入すると地盤内で目詰まりを起こし、注入が困難になる現象が観測された。また、微粒子セメントと比較するとその改良範囲は小さく、微粒子セメント系グラウト材の方が注入工法として優れていることを明らかにした。本研究の結論として、セメントグラウトの注入による地盤改良工法としては、粘性よりも粒径の大きさが重要であることが分かった。
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