研究課題
(1)令和2年7月九州豪雨を対象に球磨川流域の市房ダム,建設予定の川辺川ダムの1000アンサンブル降雨流出計算を実施,これを境界条件として浅水流方程式による球磨川主要域の1000流出・浸水予測を実施した.浸水計算については富岳に実装された浅水流方程式モデルを用いている.この結果はPEPS(Progress in Earth and Planetary Science)で公開された.結果として,1000アンサンブルにより通常は精度の良い洪水予測をするメンバーが増えること,また1000アンサンブルで一定の精度が確保できる場合には,アンサンブル数を100程度に減らせる可能性があることを示した.また,予測が可能な場合には,ある程度のリードタイムを持った避難情報の提供ができるため,危機的状況下で避難するのではなく,余裕を持った避難が可能になるというケーススタディを示した.(2)風の影響を考慮した複合風水害については,荒川流域を対象に令和元年東日本台風時の流域全体の流量,および中流部の流出・浸水再現を実施した.これにより,モデルが精度良く荒川の洪水現象を再現できた.次に同モデルで,強風が東西南北方向から吹く場合,また荒川流域における近年の暴風時の風速場を実例として風が洪水過程に及ぼす影響について検討した.本結果は投稿予定である.(3)避難行動については,地下空間などで平面を2次元的に避難できる行動モデルを開発した.研究室学生とともに三宮市街地・地下街の洪水計算を1m解像度で実施した.人を対象とする場合,1m解像度といった人スケールでの計算によりきめ細やかな対応が可能となる.これを用いて,コロナ等の影響も考慮した避難行動についてマルチエージェントモデルで分析した.結果として,洪水開始から避難完了までの一連の行動過程を分析できるようになった.この結果は水工学論文集で公開された.
すべて 2023 2022
すべて 雑誌論文 (5件) (うち査読あり 5件、 オープンアクセス 1件) 学会発表 (2件) (うち国際学会 2件)
Progress in Earth and Planetary Science
巻: 10 ページ: 1~22
10.1186/s40645-023-00537-3
Journal of Japan Society of Civil Engineers, Ser. B1 (Hydraulic Engineering)
巻: 78 ページ: I_793~I_798
10.2208/jscejhe.78.2_I_793
巻: 78 ページ: I_415~I_420
10.2208/jscejhe.78.2_I_415
巻: 78 ページ: I_475~I_480
10.2208/jscejhe.78.2_I_475
Proceedings of the 39th IAHR World Congress (Granada, 2022)
巻: 1 ページ: 6745~6748
10.3850/IAHR-39WC2521711920221345