研究課題/領域番号 |
19K04630
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研究機関 | 国立研究開発法人土木研究所 |
研究代表者 |
木岡 信治 国立研究開発法人土木研究所, 土木研究所(寒地土木研究所), 主任研究員 (20414154)
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研究分担者 |
竹内 貴弘 八戸工業大学, 大学院工学研究科, 教授 (40305983)
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研究期間 (年度) |
2019-04-01 – 2022-03-31
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キーワード | 海氷 / 津波 / パイルアップ / アイスジャム / 個別要素法 / 人工知能 / シミュレーション / 漂流物 |
研究実績の概要 |
研究代表者である木岡は,昨年度に続き、ポリプロピレン製の氷模型を用いた津波氾濫流の模型実験を実施し,主に市街地を対象としたjamやpile up現象についてそのメカニズムを分析した.またこれらの模型実験データを自作した人工知能(AI)によって学習させ,氷の大きさ,流れの条件,構造物の条件などから,アイスジャムの発生予測を試みた.これにより,木岡らが開発している準3次元の津波による海氷の漂流シミュレーションを構成する計算モジュールのうち,特に海氷部分の挙動に関する数理モデルの脆弱性がある部分を補う機能をもつモジュールとした.さらに,3次元個別要素法を用いた海氷挙動を部分的かつ効率的に上記シミュレーションに組み込むための検討を行った.そのため,まず3次元計算による氷の挙動の妥当性を,北米の広大な湖で発生したアイス津波(強風による湖氷の陸上遡上)を例にその再現性を確認した. また,分担研究者の竹内は,昨年に続き,救助や復旧・経済活動に大きな影響を及ぼす道路への海氷及び漂流物の堆積・閉塞に関するメカニズムの把握のため,ポリプロピレン製の氷模型のほか,木材やがれきを想定した様々な漂流物模型を用いた津波実験を実施し,課題を整理した.また,引き続き,pile upやjamの実現象に関する国外の情報収集を行い,極めて事例が少ない海氷を伴う津波現象の補足資料とするとともに,既存のデータの信頼性や精度をさらに高めるため,ベイズ理論等の種々の統計解析に供する基礎資料とした.
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
パイルアップの実験等一部実施できなかったところもあるが,津波と海氷の数値シミュレーションの高度化に資する津波実験や計算モジュールの構築,さらに救助や復旧・経済活動に大きな影響を及ぼす道路への海氷及び漂流物の堆積・閉塞に関する実験など,本研究達成に向けた主要な部分は実施できたので,順調に進展していると判断した.
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今後の研究の推進方策 |
研究が順調に進んでおり,スケジュールに大きな乱れはなく,今年度以降も当初の計画どおりに研究を進めていくことに問題はない.
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次年度使用額が生じた理由 |
新型コロナ感染防止のため,出張・調査を控えたこと,購入予定であったワークステーションを含むIT機器のサプライチェーンリスク審査のため(IT調達に係る国の物品等又は役務の調達方針及び調達手続きに関する申し合わせ),発注および納品が遅れたことによる.しかし年度明けすぐに納品となり,速やかに研究を開始できる環境にある.ゆえに,本報告書執筆段階で未使用額の多くは消化しているが,その他の未使用額については,引き続き実施する海氷関連の実験や現地調査等に充当する予定である.
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