研究課題/領域番号 |
19K04641
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研究機関 | 宮城大学 |
研究代表者 |
蒔苗 耕司 宮城大学, 事業構想学群(部), 教授 (10295404)
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研究期間 (年度) |
2019-04-01 – 2023-03-31
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キーワード | 知識マネジメント / BIM/CIM / ライフサイクルマネジメント / 道路設計 / 建設プロジェクト / システムアーキテクチャ |
研究実績の概要 |
本研究では,社会インフラとして主に道路を対象に,設計過程での配慮や工夫,意思決定における設計者や事業者の思考情報を格納できる情報モデルの構築と,それに基づき構築されるデータベースからの知識・知恵の抽出システムの開発を行うとともに,最終的には統合的な知識・知恵のマネジメントシステムを構築することを目指している. 本年度の研究では,第一に道路設計を対象として,人間の思考を設計情報に包含するための基本的な仕組みについて検討を行った.道路設計における路線選定では,地形・地質,気象,動植物等の自然条件,現道位置や土地利用,教育施設等の各種施設配置を含めた社会条件等の諸条件を満たした最適路線の抽出が求められる.本研究では,路線選定段階で発生する設計対処に関する情報(ノウハウ)を蓄積していく手法として,道路線形の基幹である道路中心線に対処情報を付与する仕組みが必要であると考え,設計対処により生じる道路中心線の距離程変化を記録した距離変換テーブルに基づく対処情報の管理手法を提案した. 第二に,計画・設計・施工・維持管理へと至る建設プロジェクトのライフサイクルを表現できるシステムアーキテクチャモデルの構築を行った.建設プロジェクトは様々な要素やシステムが関係しあう複雑な仕組みとなっており,それらを包括的に管理するモデルとしてVモデルとシステム構成要素を組み合わせたアーキテクチャモデルを提案し,道路及び交通に係る建設プロジェクトを対象にその適用に関する検証を行った.
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
研究計画では「思考情報を格納できる情報モデルの構築と検証」を2019~2020年度の2か年で行うことを予定しており,モデル構築に関しては当初予定通り順調に進んでいる.また研究計画の一項目として挙げていた「統合的な知識マネジメントシステムの検討」に関しては,当初は最終年度に行う予定としていたが,その一部として建設プロジェクトのシステムアーキテクチャモデルの検討に着手している状況である.以上のことから,現在までの進捗状況は概ね順調に進展しているといえる.
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今後の研究の推進方策 |
現在取り組んでいる「思考情報を格納できる情報モデルの構築と検証」については,現在は机上でのモデル構築を進めている段階であるが,今後は本年度の研究で行った距離程に基づく情報管理手法に加えて,設計上のコントロールポイント等の空間情報の取扱いを含めたモデル化を行うとともに,コンピュータシステム上での実装を行うことにより構築したモデルの検証を進めていく. また今後の研究課題である「データベースからの知恵抽出ロジックの開発」に向けて,設計者の意思決定ロジックの構築を進める必要があり,今年度は次年度以降の研究着手に向けて,関連研究等の情報収集を進めるとともに,抽出ロジックの基礎となる統計分析や機械学習等の手法に関する基礎的研究に着手する.
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次年度使用額が生じた理由 |
物品費に関しては,本年度に導入を予定していた開発用ワークステーションの導入をシステム開発状況に応じて次年度以降に変更したこと,また人件費・謝金に関しては,年度後半で使用予定だった学生アルバイトによる研究補助作業が新型コロナウィルス問題でできなかったことにより次年度使用額が発生した. 次年度使用額に関しては,翌年度分として請求した助成金と合わせ,物品費については,本年度導入予定だったワークステーション及び当初予定のノートPC等の開発用機材の導入経費として,また人件費・謝金については,学生アルバイトによる研究補助作業をテレワークに切り替え本年度末の作業残に当初作業を加えた分に係る経費として,それぞれ増額して使用すること,またその他費用については学会発表等の経費として当初予定通り使用することを計画している.
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