本年度は研究の最終年度であるため、これまでの研究成果をもとに、道路運転中のドライバーの注意力低下をさまたげ、安全に走行できる方策について検討した。 まず、暫定二車線高速道路に整備されているワイヤーロープ整備区間を対象に、レベル2自動運転機能をもつ車両で走行テストしたところ、車両の走行位置はドライバーがマニュアルで走行するときと比べて左右の分散が極めて小さくなり、横ブレがあまり生じていないことを確認できた。これは、走行時にワイヤーロープへの接触危険性を低下させることとなる。ただ一方で、車両の中心位置は、マニュアル操作時と比べて、ややワイヤーロープ側へシフトしていた。この状況では、ドライバーはワイヤーロープへの接近から、接触危険性を感じてレベル2自動運転を使用しない恐れがある。そこで、レベル2自動運転に頼らない安全方策が必要となる。 本研究では、これまで実施された様々な対策(注意喚起路面標示、注意喚起標識、支柱の着色の変更、中央のドット線幅広化、中央帯直近へのイメージハンプ、ワイヤーロープへの反射材設置)と独自に企画した対策(誘導線の整備)の合計7種類の対策をDS上に構築し、被験者実験をもとにどのような対策が効果的であるか検証した。DS実験では行動記録とともに運転者の生理情報、実験後にはアンケートによるドライバー評価も実施している。 その結果、道路上に誘導線を整備する独自に企画した対策が、左右の横ブレが小さいこと、およびワイヤーロープから離れているという両面を満たしていた。これは、実験終了後の被験者アンケートからも最も良い対策として評価されている。 この結果から、誘導線の設置が最も良いことを明らかにできた。今回の実験では誘導線はすべて実線であったが、破線にするなど他の方策も考えられる。これら検証が今後の課題である。
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